Moto GP2008年第10戦のザクセンリンク(ドイツ)GPは、前年の覇者ペドロサが独走態勢に持ち込んだものの、早々に転倒リタイヤしてしまう。
ペドロサは年間ランキングの首位から陥落しただけでなく、調子を上げてきたストーナーに追いつかれてしまった。
ポイントランキングの流れを大きく変えた一戦。
目次
ドイツGP レース前のTips
開催日 : 2008年7月13日
コンディション : ウェット
気温 : 14℃
路面温度 : 17℃
ホンダが1年ぶりの優勝 : 2007年のドイツGP振り返り
前年のザクセンリンクは、ホールショットを決めたペドロサがレース中盤以降後続を徐々に引き離し、終わってみれば2位に13秒もの差をつけて快勝した。ホンダ車の優勝は、前年第14戦のオーストラリアGP以来13戦ぶり。ペドロサの優勝は、前年第9戦のブリティッシュGP以来18戦ぶりだった。
- 1位 ダニ・ペドロサ
- 2位 ロリス・カピロッシ
- 3位 ニッキー・ヘイデン
ストーナーが4戦連続のポールポジション
前戦に続き、ストーナーがポールポジションレコードを塗り替えてのポール獲得。第7戦のカタルニア以来、4戦連続でのポールポジションである。
ザクセンリンク : 延々と続く左と強烈なダウンヒル
ザクセンリンクは、左コーナーが連続する前半と、ダウンヒルストレートが特徴的な直線コースが組み合わされた後半にはっきりと分かれたコースだ。また右コーナーが4つに対して、左コーナーが10もある。
コース幅 : 10m
コーナー数 : 右4 左10
最長ストレート : 780m
決勝レース周回数 : 30周
総走行距離 : 110.13km
ストーナーが4戦連続でポール : 決勝グリッド
ストーナーが4戦連続でポールポジションを獲得している。ペドロサも前戦に続いて2番グリッド。Tech 3 Yamahaのコーリンエドワーズが3番グリッド。エドワーズは今期絶好調で、開幕戦以来全戦で1列目か2列目を確保している。
Row | Grid | Rider | Team | Time |
1 | 1 | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 1'21.067 |
2 | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 1'21.420 | |
3 | Colin EDWARDS | Tech 3 Yamaha | 1'21.519 | |
2 | 4 | Andrea DOVIZIOSO | JiR Team Scot MotoGP (HONDA) | 1'21.656 |
5 | Jorge LORENZO | Fiat Yamaha Team | 1'21.795 | |
6 | Randy DE PUNIET | LCR Honda MotoGP | 1'21.821 | |
3 | 7 | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 1'21.845 |
8 | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 1'21.876 | |
9 | 中野 真矢 | San Carlo Honda Gresini | 1'21.920 | |
4 | 10 | Alex DE ANGELIS | San Carlo Honda Gresini | 1'21.977 |
11 | James TOSELAND | Tech 3 Yamaha | 1'22.126 | |
12 | Toni ELIAS | Alice Team (DUCATI) | 1'22.256 | |
5 | 13 | Loris CAPIROSSI | Rizla Suzuki MotoGP | 1'22.542 |
14 | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 1'22.601 | |
15 | Sylvain GUINTOLI | Alice Team (DUCATI) | 1'22.938 | |
6 | 16 | Marco MELANDRI | Ducati Marlboro Team | 1'23.131 |
17 | Anthony WEST | Kawasaki Racing Team | 1'23.158 |
ペドロサの独走で始まったのに、、: ドイツGPの経過
3番グリッドのエドワーズが、フライングかと思われるほど良いスタートを決めるが、加速で勝るペドロサがトップで1コーナーへ飛び込む。これに4番グリッドスタートのドビチオーゾと、エドワーズが続く。
ポールポジションスタートのストーナーは、上手くイン側に入り込めず、1コーナーを大周りで通過して4位に落ちてしまう。
エドワーズのマシンが僅かにスリップした隙に、ストーナーが3位に上がる。
いち早く集団から抜けたトップのペドロサと2位のドビチオーゾ、
そしてドビチオーゾと少し差がある、3位のストーナーが水煙に巻き込まれていない。
ロレンソが6位、ロッシは7位、何れも水煙の中を走行している。
理由は不明だが、ヘイデンが最下位を走行している。
2周目
1コーナーでストーナーがドビチオーゾをインからパスして2位に上がる。
ロッシがトーズランドとロレンソを抜き5位に上がる。
ペドロサは2位のストーナーに早くも2.6秒差をつけ独走態勢。昨年に続き、独走優勝なるか?
3周目
トップのペドロサと2位ストーナーの差が3.6秒まで伸びている。
6位のロレンソがコーナー出口でハイサイドを起こし転倒。大きな転倒ではなかったが、エンジンが始動せずリタイヤとなる。
4周目
4周目に入った時点での上位タイムは次の通り
ペドロサ
↓ 5.1秒
ストーナー
↓ 0.8秒
ドビチオーゾ
↓ 0.5秒
エドワース
↓ 1.4秒
ロッシ
4周目にして、ペドロサのリードが5秒に達している。
5周目
ストーナーがペドロサと同じペースで周回し始める。
5位のロッシが4位のエドワーズに追いつく。
6周目
6周目に入った時点での上位タイムは次の通り
ペドロサ
↓ 7.4秒
ストーナー
↓ 1.5秒
ドビチオーゾ
↓ 0.6秒
エドワース
↓ 0.5秒
ロッシ
ペドロサは2位に7秒差をつけていて、安全圏に入ったと思われたが、1コーナー進入のブレーキング時にマシンが大きくスライドし、単独転倒! 速度が出ていたため、マシンがグラベルを抜けて壁に激突してしまい、そのままリタイヤとなる。
2戦連続のノ―ポイントとなり、チャンピオン争いから転落してしまうこととなった。
7周目
7周目に入った時点での上位タイムは次の通り
ストーナー
↓ 1.6秒
ドビチオーゾ
↓ 0.8秒
エドワース
↓ 0.3秒
ロッシ
↓ 2.8秒
バーミューレン
さすが”レインマスター”と呼ばれるだけはある。
後半、台風の目になりそうな予感、、、
8周目
1コーナーでロッシがエドワーズをパスし3位に上がる。
ヘイデンがピットインしタイヤ交換を行う。
5位のバーミューレンが最速タイムで周回し、エドワーズに迫っている!
9周目
1コーナーでロッシがドビチオーゾをパスして2位に上がる。
続いてエドワーズもドビチオーゾをパスして3位に上がる。ドビチオーゾのすぐ後ろには、バーミューレンとドプニエが迫っている。
10周目
1コーナーでバーミューレンがドビチオーゾをパスして4位に上がる。バーミューレンのすぐ前にはエドワーズがいる。
デアンジェリスもドビチオーゾをパスして5位となる。
7位のメランドリが転倒リタイヤ。
チームメイトのストーナーとはあまりにも違う結果、、、ウェットレースで16番グリッドから7位に上がる好走を見せていただけに、悔やんでも悔やみきれないリタイヤだろう。
11周目
11周目に入った時点での上位ライダーは次の通り
ストーナー
↓ 2.4秒
ロッシ
↓ 2.0秒
バーミューレン
↓ 0.2秒
エドワース
↓ 1.1秒
デアンジェリス
この後、デアンジェリスがエドワーズをパスし4位に上がった。
12周目
10周目に3.2秒あったロッシとの差を、11周目に2.4秒まで縮められたストーナーがペースを上げ、ロッシとの差を0.5秒開き3.2秒に戻す
精密機械か?
ストーナーはコーナーの毎にマシンが振られているが、巧みにコントロールしていてペースが落ちない。
13周目
トップのストーナーと2位のロッシとの差が更に0.2秒開き、3.8秒となる。
3位のバーミューレンが、ストーナーを上回るペースでロッシに近付いてきている。
15周目
15周目に入った時点での上位ライダーは次の通り
ストーナー
↓ 3.7秒
ロッシ
↓ 1.5秒
バーミューレン
↓ 0.8秒
デアンジェリス
↓ 5.0秒
エドワース
17周目
雨が止む。
19周目
19周目に入った時点での上位ライダーは次の通り
ストーナー
↓ 4.5秒
ロッシ
↓ 3.8秒
バーミューレン
↓ 0.3秒
デアンジェリス
↓ 7.0秒
エドワース
21周目
ロッシの車載映像が映されるが、ストーナーを目視出来ない状態。
再度雨が強くなってきている。
5位走行していたエドワーズ転倒リタイヤ
25周目
デアンジェリスがバーミューレンに0.1秒差まで迫っている
さて、どう対処する?
26周目
バーミューレンがペースアップし、デアンジェリスとの差を僅かに広げる
ストーナーとロッシがエリアスを周回遅れにする。エリアスはロッシのパッシングに対して積極的にラインを譲らず、ストーナーとの差が開く。
29周目
29周目に入った時点での上位ライダーは次の通り
ストーナー
↓ 5.0秒
ロッシ
↓ 8.2秒
バーミューレン
↓ 0.2秒
デアンジェリス
↓ 19.6秒
ドビチオーゾ
最終周
4位のデアンジェリスがしきりにバーミューレンに追いつこうとするが、今一つ届かない。後半セクションに入ったところで、バーミューレンが周回遅れのエリアスに追いついてしまい、デアンジェリスに好機到来かと思われたが、そのままフィニッシュラインを通過し順位が確定する。
ドイツGPの結果
ウェットレースは思わぬ展開になることが多いが、終わってみればストーナーとロッシ。
3位のバーミューレンは流石。ストーナーもバーミューレンもオーストラリアのダートトラック出身の選手なので、雨天のマシンコントロールはお手の物なのだろう。
順位 | Rider | トップとのタイム差 | タイヤメーカー |
1 | Casey STONER | - | ブリヂストン |
2 | Valentino ROSSI | 3.708 | ブリヂストン |
3 | Chris VERMEULEN | 14.002 | ブリヂストン |
4 | Alex DE ANGELIS | 14.124 | ブリヂストン |
5 | Andrea DOVIZIOSO | 42.022 | ミシュラン |
6 | Sylvain GUINTOLI | 46.648 | ブリヂストン |
7 | Loris CAPIROSSI | 1'04.483 | ブリヂストン |
8 | Randy DE PUNIET | 1'04.588 | ミシュラン |
9 | 中野 真矢 | 1'16.773 | ブリヂストン |
10 | Anthony WEST | 1'29.275 | ブリヂストン |
11 | James TOSELAND | 1 lap | ミシュラン |
12 | Toni ELIAS | 1 lap | ブリヂストン |
13 | Nicky HAYDEN | 2 laps | ミシュラン |
R | Jorge LORENZO、Dani PEDROSA
Marco MELANDRI、Colin EDWARDS |
ポイントランキング
ペドロサが首位から陥落しただけではなく、ストーナーにも4ポイント差に迫られてしまった。このリタイヤは痛い!
バーミューレンが9位から6位にジャンプアップ。
ライダーランキング
順位 | ライダー | チーム | ポイント |
1↑ | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 187 |
2↓ | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 171 |
3 | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 167 |
4 | Jorge LORENZO | Fiat Yamaha Team | 114 |
5 | Colin EDWARDS | Tech 3 Yamaha | 98 |
6 | Andrea DOVIZIOSO | JiR Team Scot MotoGP | 90 |
7↑ | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 73 |
8↓ | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 73 |
9↓ | James TOSELAND | Tech 3 Yamaha | 65 |
10 | 中野 真矢 | San Carlo Honda Gresini | 64 |
11 | Loris CAPIROSSI | Rizla Suzuki MotoGP | 60 |
12↑ | Alex DE ANGELIS | San Carlo Honda Gresini | 38 |
13↓ | Toni ELIAS | Alice Team | 37 |
14↑ | Sylvain GUINTOLI | Alice Team | 34 |
15↓ | John HOPKINS | Kawasaki Racing Team | 32 |
16↓ | Marco MELANDRI | Ducati Marlboro Team | 32 |
17 | Randy DE PUNIET | LCR Honda MotoGP | 30 |
18 | Anthony WEST | Kawasaki Racing Team | 22 |
19 | Ben SPIES | Rizla Suzuki MotoGP | 2 |
20 | 岡田 忠之 | Repsol Honda Team | 2 |
コンストラクターランキング
順位 | コンストラクター | ポイント |
1 | YAMAHA | 216 |
2 | HONDA | 184 |
3 | DUCATI | 172 |
4 | SUZUKI | 96 |
5 | KAWASAKI | 47 |