Moto GP 2007年第11戦 アメリカGP

前戦で好調だったアメリカ人ライダーへの期待で幕を開けたアメリカGPだが、1周目第2コーナーで、アメリカ人ライダー、ヘイデンとホプキンスが接触してしまったことで、大きく流れが変わっていく。

波乱の幕開けをものともせず、予想を上回るペースを刻み続けるストーナーに食らい付いて行ったのは、レインマスターことバーミューレンだった。

目次

アメリカGP レース前のTips

開 催 日 : 2007年7月22日
コンディション : ドライ
気   温 : 30℃
路 面 温 度 : 46℃

2006年のアメリカGPはヘイデンの2連勝

ラグナセカには何か特別な雰囲気がある。カリフォルニアの太陽、陽気な観客、アメリカ人ライダーの熱量、、イロイロと理由があるのだろうが、テレビ画面からもその雰囲気が伝わってくる。

2006年のアメリカGPでもその雰囲気は変わらなかった。

中盤からヘイデンがトップのバーミューレンとの差をジリジリと削っていき、レースの半ば過ぎにトップを奪い、その後一気に差を開き独走。2年連続の母国GP優勝を飾っている。

1位 ヘイデン、  2位 ペドロサ、  3位 メランドリ

ロッシとメランドリが負傷

メランドリが予選で転倒し、左ひざを脱臼している。このため決勝前のウォームアップ走行が出来ていない。痛み止めの注射を打っての出場。

ロッシも転倒により左手小指の爪が剥がれている。

ヘイデンの弟がMoto GPデビュー

ニッキーヘイデンの弟、ロジャー・リー・ヘイデンがカワサキから出場している。

ラグナセカの概要

ラグナセカのレイアウト
コース全長 : 3,610m

コース幅 : 15m

コーナー数 : 右4 左7

最長ストレート : 966m

決勝レース周回数 : 32周

総走行距離 : 115.52km

アメリカGP 決勝のグリッド

中野や玉田がいつもより僅かながら良いグリッドを獲得している。今期の日本人ライダーは惨憺たる結果だが、後半での活躍に期待したい。

Row Grid Rider Team Time
1 1 Casey STONER Ducati Marlboro Team 1'22.292
2 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 1'22.501
3 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 1'22.590
2 4 Nicky HAYDEN Repsol Honda Team 1'22.624
5 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 1'22.683
6 Loris CAPIROSSI Ducati Marlboro Team 1'22.914
3 7 John HOPKINS Rizla Suzuki MotoGP 1'22.933
8 Colin EDWARDS Fiat Yamaha Team 1'22.943
9 中野 真矢 Konica Minolta Honda 1'23.006
4 10 Marco MELANDRI Honda Gresini 1'23.018
11 玉田 誠 Dunlop Yamaha Tech 3 1'23.036
12 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 1'23.091
5 13 Randy DE PUNIET Kawasaki Racing Team 1'23.113
14 Sylvain GUINTOLI Dunlop Yamaha Tech 3 1'23.207
15 Carlos CHECA Honda LCR 1'23.263
6 16 Roger Lee HAYDEN Kawasaki Racing Team 1'23.425
17 Alex BARROS Pramac d'Antin 1'23.557
18 Kurtis ROBERTS Team Roberts 1'23.662
19 Miguel DUHAMEL Honda Gresini 1'23.923
20 Chaz DAVIES Pramac d'Antin 1'24.098

 

アメリカGP レースの経過

ホールショットはペドロサ。2位がストーナー。ヘイデンが好スタートを切り、3位に付ける。アウトから入り込むコース取りが前戦と似ている。ヘイデンの必勝パターンになるか?

第2コーナーで、ヘイデンがイン側に居たストーナーに押し出される形になり、僅かにアウトに膨らむ。すぐ後ろにいたホプキンスが、これを見逃さずにヘイデンのイン側に飛び込むが、ラインを修正してきたヘイデンと接触してしまいホプキンスは転倒。ヘイデンは転倒は免れるが、18位まで順位を落とす。
レース開始早々に、ラグナセカを得意とするアメリカ人ライダー2名の接触に、会場は騒然となる。

ストーナーがペドロサをパスしトップに立つ。

ホプキンスがピットインし、マシン修復に入る。

2周目

トップはストーナー、2位ペドロサ、3位バーミューレンと続く。ロッシはストーナーから1秒遅れの4位。

3周目

ホプキンスがレースに復帰

4周目

ストーナーのペースが上がり、ペドロサとの差が1.2秒に広がる。バーミューレンはペドロサにぴったりと付いている。

バーミューレンがペドロサをパスし、2位に上がる。

“レインマスター”バーミューレンが、ドライでも速さを見せるようになってきている!

5周目

ストーナーとロッシの差が3.5秒まで開いている。

カピロッシがギアのトラブルでリタイヤ

6周目

バーミューレンがファステストを記録する。ストーナーとの差は1秒。

7周目

ストーナーとバーミューレンが異常に速く、3位ペドロサより1秒早いペースで周回している。ロッシとストーナーの差は5秒まで開いている。

メランドリがロッシに迫っている。

10周目

ストーナーとバーミューレンは依然として1秒差で走行している。

メランドリがロッシをパスし4位に上がる。

12周目

メランドリがペドロサとの差を縮めている。

13周目

バーミューレンのタイムが1秒落ち、ストーナーとの差が2秒に開く。

14周目

ヘイデンは16位を走行している。

15周目

メランドリがペドロサに追いつく。

17周目

メランドリがペドロサをパスし3位に上がる。

この段階での1周のラップタイムは、2位バーミューレンがストーナーの1秒遅れ、メランドリはバーミューレンとほぼ同タイムで走行している。

ストーナーとバーミューレンの差は4秒、バーミューレンとメランドリは11秒開いている。

20周目

ロッシがペドロサをパスし4位に上がる。3位メランドリとの差は2秒。

22周目

ストーナーだけが1周1分22秒台で走っている。2位のバーミューレンや3位メランドリは23秒台。

ストーナーはバーミューレンに6秒の差を付けており、もうそんなにプッシュしなくても良いと思うのだが、、、

23周目

ストーナーとバーミューレンの差が7秒に開く

24周目

ヘイデンが周回遅れになる。
その後、ヘイデンはピットインしリタイヤ。ホプキンスとの接触で、前輪ブレーキを破損しており、無理に走った結果、ブレーキが利かなくなっていた。

25周目

玉田がエドワーズをパスして、7位に上がっている。久しぶりに見る玉田の好走。

28周目

ストーナーがようやく1周1分23秒台にペースを落とす。バーミューレンとは9秒の差が付いている。

29周目

29周目に入った段階でのタイム差は次の通り。
ストーナー
↓ 9.74秒
バーミューレン
↓ 12.61秒
メランドリ
↓ 1.95秒
ロッシ
↓ 7.16秒
ペドロサ

ストーナーとバーミューレンが如何に速かったかが分かる。

各車とも安全走行に入った感がある。

30~最終周

順位変動なくフィニッシュ

アメリカGPの結果

 

順位 Rider トップとのタイム差 タイヤメーカー
1 Casey STONER ブリヂストン
2 Chris VERMEULEN 9.865 ブリヂストン
3 Marco MELANDRI 25.641 ブリヂストン
4 Valentino ROSSI 30.664 ミシュラン
5 Dani PEDROSA 35.622 ミシュラン
6 Randy DE PUNIET 38.306 ブリヂストン
7 Anthony WEST 41.422 ブリヂストン
8 玉田 誠 42.355 ダンロップ
9 Alex BARROS 43.520 ブリヂストン
10 Roger Lee HAYDEN 43.720 ブリヂストン
11 Colin EDWARDS 47.376 ミシュラン
12 中野 真矢 52.848 ミシュラン
13 Sylvain GUINTOLI 58.410 ダンロップ
14 Carlos CHECA 1'15.366 ミシュラン
15 John HOPKINS 2 laps ブリヂストン
16 Chaz DAVIES 3 laps ブリヂストン
R Nicky HAYDEN、Miguel DUHAMEL、

Kurtis ROBERTS、Loris CAPIROSSI

アメリカGP終了時の年間ランキング

バーミューレンが6位から4位にジャンプアップ。

3位のペドロサが、2位のロッシとの差を25ポイント縮めて、20ポイントとした。

オリビエ・ジャックからカワサキのシートを引き継いだアンソニー・ウエストが、3戦目にして早くもチームメイトのギュントーリのランキングを上回っている。

ライダーランキング

順位 ライダー チーム ポイント
1 STONER Casey Ducati Marlboro Team 221
2 ROSSI Valentino Fiat Yamaha Team 177
3 PEDROSA Dani Repsol Honda Team 155
4 VERMEULEN Chris Rizla Suzuki MotoGP 113
5 MELANDRI Marco Honda Gresini 113
6 HOPKINS John Rizla Suzuki MotoGP 104
7 EDWARDS Colin Fiat Yamaha Team 93
8 CAPIROSSI Loris Ducati Marlboro Team 77
9 BARROS Alex Pramac d'Antin 76
10 HAYDEN Nicky Repsol Honda Team 73
11 HOFMANN Alex Pramac d'Antin 60
12 DE PUNIET Randy Kawasaki Racing Team 50
13 ELIAS Toni Honda Gresini 49
14 玉田 誠 Dunlop Yamaha Tech 3 31
15 CHECA Carlos Honda LCR 27
16 WEST Anthony Kawasaki Racing Team 29
17 中野 真矢 Konica Minolta Honda 29
18 GUINTOLI Sylvain Dunlop Yamaha Tech 3 21
19 ROBERTS Kurtis Team Roberts 8
20 HAYDEN Roger Lee Kawasaki Racing Team 6
21 FABRIZIO Michel Honda Gresini 6
22 NIETO Fonsi Kawasaki Racing Team 5
23 JACQUE Olivier Kawasaki Racing Team 4
24 ROBERTS JR Kenny Team Roberts 4

コンストラクターランキング

順位 コンストラクター ポイント
1 DUCATI 233
2 YAMAHA 197
3 HONDA 190
4 SUZUKI 151
5 KAWASAKI 74
6 KR212V 12

ロッシがブリヂストンにラブコール

アメリカグランプリの後に、ロッシがヤマハに対して、来期はブリヂストンを装着したいこと、それが出来ないなら、MotoGPは走らないと伝えていたらしい。

実際にヤマハがブリヂストンにロッシのサポートを依頼したのは、2ヶ月後に行われた日本GPの後らしいのだが、アメリカGPの時点で、ロッシはミシュランを見限っていたようだ。

尚、この話が明かされたのは2008年のシーズン前である。

バーミューレンが壁を越えた

Moto Maxのたわごと@アメリカGP

アメリカGPはストーナーの独走と、アメリカ人ライダー2人の接触が印象に残るレースではあったけれど、それ以上にバーミューレンの走りに目を見張った一戦だった。

バーミューレンは、ワールドスーパーバイクからモトGPに移ってからの1年半で、3回表彰台に立っている。

  • 2006年 第14戦 オーストラリアGP 2位
  • 2007年 第5戦 フランスGP 1位
  • 2007年 第8戦 ブリティッシュGP 3位

この3戦はどれもウェットレースだ。

彼自身も「ウェットなら勝てるがドライはちょっと、、、」とった風で、雨の予選でポールポジションを獲得した1か月前のアッセンでも、「決勝がドライなら優勝争いは難しい」と発言するほどだった。

ところがどうだ? ラグナセカではストーナーとバーミューレンだけが、他のライダーより1秒早いラップを刻み続けていた。

バーミューレンは2004年のワールドスーパーバイク時代に、ラグナセカで優勝しているので、もともとこのサーキットには自信を持っていたのかもしれない。
でもその理由だけじゃ、ストーナーと2人だけの高速走行を続けた理由にはちょっと足りない気がする。

そう思って、2006年のラグナセカを見返してみたところ、バーミューレンは順位こそ5位だったが、内容は素晴らしいものだった。ポールポジションからスタートし、16周目迄トップを独占し、その後も残り4周でエンジントラブルに見舞われるまでは、2位をキープしていた。
1年前から優勝するポテンシャルは十分にあったのだ。

だが彼は勝利できていなかった。

因みに彼がMotoGPにデビューしてから、前戦までの27戦の順位を集計するとこうなる。

  • 表彰台 3回
  • 4位~6位 2回
  • 7位~9位 8回
  • 10位~12位 8回
  • 13位以下 3回
  • リタイヤ 3回

表彰台に上った3回のウェットレース以外は、殆どが7位以下だ。

そのバーミューレンが晴天のカリフォルニアで、3番グリッドを獲得し、ストーナーと互角に渡り合い、3位を16秒も引き離しての2位になった。

バーミューレンにしてみれば、今までなかなか超えられなかった壁をついに超えたのがこのラグナセカなのではないかと思う。

雨でなくても勝てるという自信が付いたことは、今後のレースに大きなプラスになるはずだ。

もうレインマスターなんて名称は要らない。

 

 

 

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