ロッシ2連勝とドカティの悲劇! 2008年第5戦 ル・マンGP

2008年のル・マンは、前年同様に波乱含みの展開だった。

明るい話題はヤマハに集中した。

ロッシがGP通算90勝という、スペインの英雄ライダー、アンヘル・ニエトと同じ記録を達成し、彼から直接の祝福を受けただけでなく、ロレンソとエドワーズの好走によって、表彰台を独占したのだ。

一方で、ドカティにとっては悪夢のような一日だった。

ドカティワークスのライダー、ストーナーとメランドリが揃ってドライコンディションをレインタイヤで走ることになり、2人とも周回遅れとなってしまったのだ。

目次

フランスGP レース前のTips

開催日 : 2008年5月18日
コンディション : ドライ
気温 : 20℃
路面温度 : 26℃

2007年のル・マンGPは大混戦

2007年のルマンは、目まぐるしいバトルが繰り広げられる前半から、意地悪な天候に翻弄される後半まで、1レースに3レース分くらいの展開が詰まった、印象に残るレースだった。

レース開始直前に降り出した雨が、少しづつと良くなっていく中、その天候を味方に付ける者、大きな賭けに出る者、、、、それぞれのライダーがそれぞれの思惑で挑んだレースは、完走12台 リタイヤ7台というサバイバルレースだった。

勝者はバーミューレン。彼は自身の初優勝と、2000年モテギGPでのケニーJr以来、7年ぶりのスズキ優勝を決めた。

  • 1位 クリス・バーミューレン
  • 2位 マルコ・メランドリ
  • 3位 ケーシー・ストーナー

ロッシが勝てば90勝

このレースでロッシが優勝すると、世界グランプリ通算90勝となる。90勝はスペインの英雄、アンヘル・ニエトに並ぶ歴代2位の記録だ。
(2020年10月現在、歴代一位はジャコモ・アゴスチーニの122勝、ロッシは115勝で2位)

ストーナーがGP100戦目

ストーナーがグランプリデビューから100戦目を迎えた。しかし、ストーナーはあまりル・マンから好かれていないようで、3位から4位の結果ばかりで優勝経験は無い。

ロレンソのケガ、未だ回復せず

ロレンソは上海GP1日目にハイサイド転倒を起こし、左足首を骨折している。ル・マンでの決勝は、ケガから僅か15日後のことで、状態はお世辞にも芳しくない。

しかも、ル・マンの予選でも2回転倒している。

バイクに乗っているだけでも不思議な状態なのだが、、、、

ル・マンサーキットの概要

コース全長 : 4,185mル・マン サーキットのレイアウト

コース幅 : 13m

コーナー数 : 右9 左4

最長ストレート : 450m

決勝レース周回数 : 28周

総走行距離 : 117.18km

ペドロサがPP復活 フランスGP 決勝グリッド

ペドロサが今期初のポールポジションを獲得。負傷しているロレンソは5番グリッド。

Row Grid Rider Team Time
1 1 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 1'32.647
2 Colin EDWARDS Tech 3 Yamaha 1'32.774
3 Casey STONER Ducati Marlboro Team 1'32.994
2 4 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 1'33.157
5 Jorge LORENZO Fiat Yamaha Team 1'33.269
6 Nicky HAYDEN Repsol Honda Team 1'33.286
3 7 James TOSELAND Tech 3 Yamaha 1'33.396
8 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 1'33.440
9 John HOPKINS Kawasaki Racing Team 1'33.628
4 10 Andrea DOVIZIOSO JiR Team Scot MotoGP 1'33.689
11 Loris CAPIROSSI Rizla Suzuki MotoGP 1'33.707
12 Randy DE PUNIET LCR Honda MotoGP 1'33.723
5 13 中野 真矢 San Carlo Honda Gresini 1'34.077
14 Toni ELIAS Alice Team 1'34.561
15 Alex DE ANGELIS San Carlo Honda Gresini 1'34.670
6 16 Sylvain GUINTOLI Alice Team 1'34.747
17 Marco MELANDRI Ducati Marlboro Team 1'35.081
18 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 1'35.349

 

ロッシvsストーナーと、ロレンソの猛追に注目!:レース経過

エドワーズとペドロサが良いスタートを決めるが、それ以上にストーナーの調子が良く、ホールショットはストーナーが奪う。これにペドロサ、エドワーズ、ヘイデンと続く。17番グリッドのメランドリがエンストでスタートできず、大幅に遅れてのスタートとなる。
4番グリッドのロッシは6位で第一コーナーを抜けた。

2周目

ペドロサがじりじりとストーナーとの差を縮め、バックストレートでストーナーのスリップストリームに入ろうとするが、ドカティの加速が良く、思うようにいかないばかりか、逆に引き離される。しかしペドロサはタイトなコーナリングで果敢に攻め、ストーナーとの距離を再び縮めていく。

ロッシがヘイデンをパスし、4位に上がる。

5番グリッドスタートのロレンソは順位を大きく落とし、トップから3秒遅れで10位を走っている。

 

3周目

トーズランドが転倒リタイヤ

エドワーズが先頭2台に付いて行けず、ロッシに追いつかれ始める。

3周目の前半、ペドロサがシケインへの入り口でストーナーに仕掛けるが、コーナーの立ち上がりがストーナーの方が良く、抜くことが出来ない。

3周目の後半、ペドロサがコーナーでストーナーをパスするが、フロントが暴れてしまい、ラインを外してしまう。この間にストーナーがインを刺して順位を挽回する。同じコーナーでロッシがエドワーズをパス。ロッシは続けてペドロサもパスし、2位に上がるが、続くバックストレートエンドでペドロサが挽回し、コーナーでロッシをパスして2位に戻す。
しかしロッシも全く引かず、2コーナー後に、ペドロサのインを付き、再度2位に戻る。

このバトルの間にも、1位のストーナーとロッシ・ペドロサとの差がほとんど変わらない。
2台が如何にハイペースでハイレベルなバトルをしているのかが、良く分かるシーンだ。

 

ペドロサはロッシにインを付かれたことで、若干タイムを落とし、ロッシとの差が開くと同時にエドワーズに付かれている。

5周目

1コーナーでロッシがストーナーとの差を一気に詰め、テールトゥノーズの状態に持ち込み一気にパスを試みるが、ストーナーはコーナーのインをしっかりと閉めていて、付け入るスキを与えず、立ち上がりの加速でロッシとの差を開いてしまう。

6周目

前半セクターでは、ロッシの方が早くストーナーに詰め寄り、中盤ではほぼ並ぶかと思われる位置まで詰めるものの、後半セクターではストーナーが早く、抜くには至らない。前半の強さはペドロサも同じで、ロッシに追いついてくる。

7周目

ホームストレートでロッシとの差を一気に詰めたペドロサが、第1コーナーでインを突こうとするが、ロッシはラインをブロック。この間にエドワーズも迫ってくる。

ロッシが得意の前半セクターのコーナーで、ストーナーのパッシングを試みるが、はらんでしまい抜くことが出来ない。

8周目

中盤の長い左コーナーでロッシがストーナーをパスし1位に立つ。

9周目

ロレンソがヘイデンを抜き、トップから4.3秒差の6位に上がってくる。

5位はトップから2.1秒のバーミューレン。

ロッシとストーナーの差に変化はなく、10周目に突入

10周目

ロッシが僅かにペースを上げていて、ストーナーとの差を前周の0.5秒から0.8秒に開いている。

11周目

ストーナーのタイムが落ち始めるが、ペドロサは中々抜くことが出来ないでいる。その間にエドワーズがペドロサの背後に付く。

ペドロサがストーナーをパスして2位に上がる。

13周目

ロッシは好調なタイムを刻んでいて、2位のペドロサとの差を2.5秒まで開いている。

エドワーズがストーナーをパスするも、続くコーナーではらんでしまい、ストーナーが3位を奪還する。

14周目

小雨が降り始める。

ロレンソがバーミューレンをパスして5位に上がってくる。

15周目

15周目に入った時点での順位とタイムは次の通り。

ロッシ
↓ 3.1秒
ペドロサ
↓ 0.5秒
ストーナー
↓ 0.1秒
エドワーズ
↓ 1.5秒
バーミューレン
↓ 0.2秒
ロレンソ
↓ 6.4秒
ホプキンス

白旗(レインタイヤを付けたバイクへの乗り換えの許可)が出される

16周目

雨脚は強くならず小雨の状態。路面はドライのまま。

17周目

7位走行中のホプキンスのチェーンが切れ、リタイヤとなる

18周目

雨脚が僅かに強くなってきているものの、青空ものぞいていて、難しい状態。

19周目

ピットレーンに日が差し始める。コースの場所によって、天候が異なるという難しい展開。

20周目

20周目に入った時点での順位とタイムは次の通り。

ロッシ
↓ 3.9秒
ペドロサ
↓ 1.4秒
ストーナー
↓ 0.3秒
エドワーズ
↓ 0.6秒
ロレンソ
↓ 5.0秒
バーミューレン

 

ロレンソがエドワーズをパスし4位に上がる

スタート時のトラブルから最下位を走行していたメランドリが、いち早くレインタイヤバイクへ乗り換えるという賭けに出る。

21周目

ストーナーのマシンが急にスローダウン。ストーナーは片手をあげ、周りに合図した後に一旦コース外に退避する。エンジンをのぞき込む仕草を見せるが、そのままレースに復帰。これにより大きく順位を落す。

ロレンソがペドロサをパスして2位に上がる。

22周目

エドワーズがペドロサをパスして3位に上がる。

雨が小降りになってくる。

メランドリ不運!

ストーナーのバイクはエンジンが完全に停止し、足で地面を蹴ってバイクを進ませながらピットレーンに入ってくる。

白旗が出ているので、ピットインすればバイクの乗り換えは可能だが、同じスリックタイヤへの乗り換えは認められていないため、レインタイヤで走らなければならない。

雨は止みつつある! 何という不運!

ストーナーはレインタイヤのバイクに乗り換え、15位でレースに復帰する。

24周目

24周目に入った時点での順位とタイムは次の通り。

ロッシ
↓ 10.4秒
ロレンソ
↓ 0.6秒
エドワーズ
↓ 0.3秒
ペドロサ
↓ 12.1秒
バーミューレン

ストーナーはトップから2分52秒も遅れ、周回遅れとなってしまっている

27周目

27周目に入った時点での順位とタイムは次の通り。

ロッシ
↓ 8.5秒
ロレンソ
↓ 0.8秒
エドワーズ
↓ 0.5秒
ペドロサ
↓ 13.1秒
バーミューレン

レインタイヤでの走行を止むなくされたストーナーと、ギャンブルでレインタイヤに交換したメランドリ。
2名のドカティワークスライダーが、共に周回遅れで走行しているという悲劇!

最終周

順位に変動なく、ロッシがストーナーを2周目の周回遅れにしてゴールする。

ロッシがGP90勝を決める ル・マンGPの結果

前戦で最高峰での50勝を決めたロッシが、今回は125ccからの通算で90勝を達成した。

順位 Rider トップとのタイム差 タイヤメーカー
1 Valentino ROSSI ブリヂストン
2 Jorge LORENZO 4.997 ミシュラン
3 Colin EDWARDS 6.805 ミシュラン
4 Dani PEDROSA 10.157 ミシュラン
5 Chris VERMEULEN 21.762 ブリヂストン
6 Andrea DOVIZIOSO 22.395 ミシュラン
7 Loris CAPIROSSI 27.806 ブリヂストン
8 Nicky HAYDEN 27.995 ミシュラン
9 Randy DE PUNIET 29.344 ミシュラン
10 中野 真矢 30.822 ブリヂストン
11 Toni ELIAS 35.154 ブリヂストン
12 Alex DE ANGELIS 36.216 ブリヂストン
13 Sylvain GUINTOLI 52.038 ブリヂストン
14 Anthony WEST 1'29.307 ブリヂストン
15 Marco MELANDRI 1 lap ブリヂストン
16 Casey STONER 2 laps ブリヂストン
R John HOPKINS、James TOSELAND

 

ロッシが辛くもトップに : ポイントランキング

ロッシがペドロサを抜き首位に立つ。エドワーズが7位から5位にアップした。

ライダーランキング

順位 ライダー チーム ポイント
1 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 97
2 Jorge LORENZO Fiat Yamaha Team 94
3 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 94
4 Casey STONER Ducati Marlboro Team 56
5 Colin EDWARDS Tech 3 Yamaha 47
6 Loris CAPIROSSI Rizla Suzuki MotoGP 42
7 Nicky HAYDEN Repsol Honda Team 37
8 Andrea DOVIZIOSO JiR Team Scot MotoGP 36
9 James TOSELAND Tech 3 Yamaha 33
10 中野 真矢 San Carlo Honda Gresini 28
11 John HOPKINS Kawasaki Racing Team 26
12 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 25
13 Marco MELANDRI Ducati Marlboro Team 24
14 Toni ELIAS Alice Team 20
15 Randy DE PUNIET LCR Honda MotoGP 18
16 Alex DE ANGELIS San Carlo Honda Gresini 11
17 Sylvain GUINTOLI Alice Team 7
18 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 5

 

コンストラクターランキング

順位 コンストラクター ポイント
1 YAMAHA 115
2 HONDA 94
3 DUCATI 61
4 SUZUKI 45
5 KAWASAKI 28

 

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