ヘイデン快走! ロッシ王手! : 2008年14戦 インディアナポリス

Moto GP2008年第14戦は、インディ500で有名なインディアナポリスで行われた。

インディアナポリスは1909年に開設されて以来99年間、アメリカで最も有名なサーキットだが、意外な事にオートバイ世界グランプリの開催は初である。

目次

インディアナポリスGP レース前のTips

開催日 : 2008年9月14日
コンディション : ウェット
気温 : 21℃
路面温度 : 20℃

四輪の聖地で初のGP : インディアナポリス

Indianapolis Motor Speedway Aerial September 2018

インディアナポリスは1909年設立のサーキットで、開設から99年を迎えている(2008年当時)。
毎年30万人の観客を集める、インディ500のサーキットとして有名だ。
インディ500では、楕円形のコースを延々と左回りするが、MotoGPでは、スタジアムの中心部に設置された、別コースを走っている。
とてもフラットなサーキットで、高低差は殆どない。

ヘイデンの地元から2時間で来れることもあり、会場はヘイデンのファンであふれかえっていた。

ペドロサがタイヤを変更 ブリヂストン採用へ

前戦までミシュランを履いていたペドロサが、今戦からブリヂストンを用いることになった。

シーズン途中での変更は異例だが、翌年から始まったブリヂストンのワンメイク化への流れを見据えた方策だろう(ワンメイクの公式アナウンスは、次戦の日本GPの決勝当日に行われた)

ヘイデンのドカティ移籍が決定

夏季休暇中に右足を負傷したヘイデンが、3戦ぶりに復帰した。

まだ本調子ではないようだが、なにせ地元から2時間の距離にある、開設から99周年を迎える、米国で最も有名なサーキットで行われる、初のMotoGPグランプリだ。欠場なんて、できるはずもない。

しかし一方で、成績の振るわないヘイデンとホンダは、来期は袂を分かつことを決め、ヘイデンはメランドリの後任としてドカティワークスに移ることが発表された。

インディアナポリス・モータースピードウェイのご紹介

1909年に設立された、

世界一古く、

世界一収容人数が多く(40万人!)、

世界でただ一つ、歴史遺産の指定を受けたサーキットである。

1909年に開設された当時のコースはレンガ敷きだった。当時のレンガの一部が今でもスタートラインとして残されている。

 

コース全長 : 4,216mインディアナポリスサーキットのレイアウト

コース幅 : 16m

コーナー数 : 右 6 左 10

最長ストレート : 644m

決勝レース周回数 : 28周(決勝は荒天による赤旗中断のため、20周となった)

総走行距離 : 118.048km(実際の走行距離は84.32km)

ストーナーの連続ポール記録は6戦で幕 : 決勝グリッド

ストーナーの6戦連続ポール記録をロッシが止めた。

Row Grid Rider Team Time
1 1 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 1'40.776
2 Casey STONER Ducati Team 1'40.860
3 Jorge LORENZO Fiat Yamaha Team 1'41.177
2 4 Nicky HAYDEN Repsol Honda Team 1'41.271
5 Ben SPIES Rizla Suzuki MotoGP 1'41.464
6 Randy DE PUNIET LCR Honda MotoGP 1'41.492
3 7 Andrea DOVIZIOSO JiR Team Scot MotoGP 1'41.744
8 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 1'41.754
9 Toni ELIAS Alice Team 1'41.886
4 10 James TOSELAND Tech 3 Yamaha 1'41.897
11 Colin EDWARDS Tech 3 Yamaha 1'41.934
12 Alex DE ANGELIS San Carlo Honda Gresini 1'41.969
5 13 Loris CAPIROSSI Rizla Suzuki MotoGP 1'42.305
14 Sylvain GUINTOLI Alice Team 1'42.405
15 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 1'42.551
6 16 John HOPKINS Kawasaki Racing Team 1'42.673
17 中野 真矢 San Carlo Honda Gresini 1'42.732
18 Marco MELANDRI Ducati Team 1'43.807
7 19 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 1'43.931

 

波乱の展開 : インディアナポリスGP

雨は降っていないが、コースの一部に水たまりが残っているため、ウェットレースが宣言された。

雲行きが怪しく、また雨となる可能性もある一方で、風がとても強いため、降雨とならなければ路面が乾いてくるかもしれない。
セットアップが難しい状態だ。

 

ポールポジションのロッシは、スタートに失敗し、第一コーナーで4位まで落ちてしまう。ホールショットを奪ったのはストーナー。4番グリッドのヘイデン、7番グリッドのドビチオーゾがこれに続く。ドビチオーゾの調子が良く、ヘイデンとストーナーを立て続けにパスしトップに立つ。
一方でストーナーの立ち上がりが精彩を欠き、ヘイデンにもパスされ3位に落ちてしまう。

2周目

3位のストーナーの調子が良く無く、ロッシとロレンソに蓋をしてしまっているために、トップのドビチオーゾと2位のヘイデンが集団から抜け始める。

ロレンソがロッシとストーナーをパスし3位に上がる。

このパッシングで、トップから3位までがミシュランタイヤとなった。
序盤のドビチオーゾや、ロレンソのパッシングからすると、ミシュランタイヤの方が機能しているようだ。

 

3周目

ホームストレートエンドでヘイデンがドビチオーゾをパスしてトップに立つ。

この時点で、コースの一部で雨が降り始める。

4周目

ロッシがロレンソを抜いて3位に返り咲く。

5周目

ロッシがドビチオーゾに近付いてくる。ヘイデンとドビチオーゾは0.6秒差

6周目

ロッシがドビチオーゾをパスして2位に上がる

7周目

7周目に入った時点での上位タイム差は次の通り。

ヘイデン
↓ 0.9
ロッシ
↓ 0.3
ドビチオーゾ
↓ 0.6
ロレンソ
↓ 1.8
ストーナー

8周目

ロッシがヘイデンに追いつく

9周目

ロレンソがドビチオーゾをパスして3位に上がる。

ヘイデンを追走していたロッシだが、コーナーでラインを外し、ヘイデンとの差が僅かに開いてしまう。

10周目

4位のドビチオーゾのペースが落ち始め、ストーナーに追いつかれてきている。

ロッシが再びヘイデンに追いつく

雨が降っているコースの前半ではヘイデンの方が速く、雨がやんでいる後半ははロッシの方が速いようだ。

13周目

ロッシが何度かヘイデンに仕掛ける。

抜きに行くというより、プレッシャーをかけているように見える。

14周目

バックストレートでヘイデンのスリップからロッシがパスを仕掛け、第一コーナーへの進入でパッシングに成功する。

ロッシは一気にペースアップし、ヘイデンとの差を開き始める。

15周目

ストーナーがドビチオーゾをパスし4位に上がる。

17周目

コースの一部で雨が激しくなってきている
ドビチオーゾがストーナーをかわしてが4位に戻る。

18周目

雨がと風が酷くなり、全体のペースが落ちている

19周目

風雨がさらに酷くなり、吹き飛ばされた小枝がコース上を舞っている。

前の周回では1秒であったトップのロッシと2位のヘイデンの差が、一気に2.5秒まで開いている。

20周目

ストーナーがドビチオーゾをパスし4位に上がる。

ヘイデンのリアがかなり振られている。雨量が増えてタイヤのマネージメントに苦慮しているようだ。

カメラが何を映しても白濁していて、良く見えない状態だ。ライダーの視界も相当に悪いはず。

21周目

ペースダウンしたヘイデンに、ロレンソが迫っている。

22周目

1コーナーでロレンソがヘイデンに仕掛けるが、抜く事は出来なかった。

この時点で赤旗が提示され、レース中断。

ダイレクションも、実況解説も、レースを再開するか、この時点の順位で確定するかの扱いについて判断できていない。

今では周回数の3分の2を消化していれば、順位決定となるが、当時は違うようだ。

 

ダイレクションが各チームのピットを廻り、20周目終了時点の記録を持ってレース結果とすることを説明し、レース終了となる。

レース中断後に風雨はパドック内のテントを飛ばすほどに強くなり、250ccの決勝は中止となった。

テントも吹っ飛んだ : インディアナGPの結果

赤旗中断により、20周を終了した時点での結果が最終順位となった。

最高位クラスでの優勝回数を69としたロッシは、ジャコモアゴスティーノの記録を抜き、歴代トップとなった。

3位となったロレンソは、世界グランプリ参戦前のスペイングランプリを含め、ウェットでの初登壇であった。

嵐のような天候となったにもかかわらず、転倒者がいなかったのが幸いだ。
あの天候で転倒してしまうと、後続ライダーが気付くのが遅れ、危険度が増してしまう。

 

順位 Rider トップとのタイム差 タイヤメーカー
1 Valentino ROSSI - ブリヂストン
2 Nicky HAYDEN 5.972 ミシュラン
3 Jorge LORENZO 7.858 ミシュラン
4 Casey STONER 28.162 ブリヂストン
5 Andrea DOVIZIOSO 28.824 ミシュラン
6 Ben SPIES 29.645 ブリヂストン
7 Sylvain GUINTOLI 36.223 ブリヂストン
8 Dani PEDROSA 37.258 ブリヂストン
9 Chris VERMEULEN 38.442 ブリヂストン
10 Alex DE ANGELIS 42.437 ブリヂストン
11 Anthony WEST 47.179 ブリヂストン
12 Toni ELIAS 55.962 ブリヂストン
13 Randy DE PUNIET 57.366 ミシュラン
14 John HOPKINS 58.353 ブリヂストン
15 Colin EDWARDS 1'00.613 ミシュラン
16 Loris CAPIROSSI 1'05.620 ブリヂストン
17 中野 真矢 1'05.854 ブリヂストン
18 James TOSELAND 1'07.968 ミシュラン
19 Marco MELANDRI 1'21.023 ブリヂストン

 

ロッシが王手! : ポイントランキング

残るはモテギ、フィリップアイランド、セパン、ヴァレンシアの4戦。次戦でロッシの年間優勝が決まる可能性がある。

ライダーランキング

順位 ライダー チーム ポイント
1 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 287
2 Casey STONER Ducati Marlboro Team 200
3 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 193
4 Jorge LORENZO Fiat Yamaha Team 156
5 Andrea DOVIZIOSO JiR Team Scot MotoGP 129
6 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 117
7 Colin EDWARDS Tech 3 Yamaha 109
8 Nicky HAYDEN Repsol Honda Team 104
9 中野 真矢 San Carlo Honda Gresini 87
10 Toni ELIAS Alice Team 86
11 Loris CAPIROSSI Rizla Suzuki MotoGP 86
12 James TOSELAND Tech 3 Yamaha 85
13 Sylvain GUINTOLI Alice Team 56
14 Alex DE ANGELIS San Carlo Honda Gresini 55
15 Marco MELANDRI Ducati Marlboro Team 48
16 Randy DE PUNIET LCR Honda MotoGP 43
17 John HOPKINS Kawasaki Racing Team 41
18 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 41
19 Ben SPIES Rizla Suzuki MotoGP 20
20 Jamie HACKING Kawasaki Racing Team 5
21 岡田 忠之 Repsol Honda Team 2

 

コンストラクターランキング

 

順位 コンストラクター ポイント
1 YAMAHA 316
2 HONDA 243
3 DUCATI 241
4 SUZUKI 149
5 KAWASAKI 71

 

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