ストーナー自爆 ロッシ躍進 :  2008年第13戦 ミサノ

Moto GP2008年第13戦は、ロッシの故郷から10kmにあるミサノで開催された。

ロッシは、前年のマシントラブルでのリタイヤの雪辱をはらすべく、2番グリッドからスタートするも、開始早々にストーナーに先行されてしまう。

しかしそのストーナーが、平凡なコーナーで単独転倒を喫してしまったことで、ロッシの独走が始まった。

前戦で変わったチャンピオンシップの流れを、決定的にした一戦。

目次

ミサノGP レース前のTips

開催日 : 2008年8月31日
コンディション : ドライ
気温 : 35℃
路面温度 : 48℃

ロッシがまさかのエンジントラブル : 2007年のミサノGP振り返り

ロッシが育った街から僅か10kmのミサノサーキットで、14年ぶりに開催されたグランプリ。地元ファンの期待を一手に集めたロッシをヤマハは新エンジンの投入で後押しした。

しかし、決勝でそのエンジンがトラブルを起こし、ロッシはリタイヤ。

さらにペドロサがドプニエ転倒に巻き込まれてしまい、ランキング2位と3位が揃ってリタイヤという波乱の展開となった。

一方で絶好調の走りを見せたのがスズキ勢。バーミューレンとホプキンスが揃って表彰台を獲得した。

  • 1位 ケーシー・ストーナー
  • 2位 クリス・バーミューレン
  • 3位 ジョン・ホプキンス

ストーナー、骨折してるのにポールポジション

決勝の2日前、金曜日にストーナーの左手親指の中心から下に伸びる骨が折れていることが判明した。

5年前に治療した箇所が、バイクの振動などで再骨折してしまったらしい。

テーピングで凌いでいるが、固定しきれないため時々激痛がはしるとのこと。

それでも2位のロッシに0.5秒差をつけて、ポールポジションを獲得している。

ヘイデンまたしても欠場

サマーバカンス中に負ったケガの為に前戦を欠場したヘイデンが、ミサノも欠場となった。

予選は走行し、16番グリッドを獲得していたが、決勝の朝にブーツがはけないほどに足が腫れ上がってしまったらしい。

次戦は出身地アメリカのインディアナポリスGPであることもあり、大事を取り欠場となってしまった。

ミサノサーキットのご紹介

大改修を経て前年からローテーション入りしたミサノサーキットだが、今年も一部が改修され、コース幅が2m広げられ、右コーナーと左コーナーがそれぞれ1つ減った。 さらに距離も46m長くなっている。

コース全長 : 4,226mミサノサーキットのレイアウト

コース幅 : 14m

コーナー数 : 右 9 左 5

最長ストレート : 565m

決勝レース周回数 : 28周

総走行距離 : 118.328km

ストーナー7戦連続ポール : 決勝グリッド

ストーナーが7戦連続でのポールポジション。16番グリッドのヘイデンは欠場となった。

Row Grid Rider Team Time
1 1 Casey STONER Ducati Marlboro Team 1'33.378
2 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 1'33.888
3 Jorge LORENZO Fiat Yamaha Team 1'33.964
2 4 Randy DE PUNIET LCR Honda MotoGP 1'34.236
5 Toni ELIAS Alice Team 1'34.322
6 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 1'34.398
3 7 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 1'34.461
8 中野 真矢 San Carlo Honda Gresini 1'34.494
9 James TOSELAND Tech 3 Yamaha 1'34.652
4 10 Colin EDWARDS Tech 3 Yamaha 1'34.795
11 Loris CAPIROSSI Rizla Suzuki MotoGP 1'34.926
12 Sylvain GUINTOLI Alice Team 1'34.961
5 13 Alex DE ANGELIS San Carlo Honda Gresini 1'35.153
14 Andrea DOVIZIOSO JiR Team Scot MotoGP 1'35.381
15 Marco MELANDRI Ducati Marlboro Team 1'35.418
6 16 Nicky HAYDEN(欠場) Repsol Honda Team 1'35.584
17 John HOPKINS Kawasaki Racing Team 1'35.980
18 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 1'37.047

 

ロッシがジャコモ・アゴスティーニの記録に並ぶ : ミサノGP

決勝はストーナーが好スタートを切った。6番グリッドのペドロサが、得意のロケットスタートで一気に2位に上がる。ロッシは1つ順位を落として3位。ロレンソはスタート失敗で3番グリッドから、7位に落ちてしまう。

ストーナーが1周目から独走

1周目からストーナーはリードを築き、1周目完了時点で2位のペドロサに1.7秒の差をつけてしまう。ロッシはトップから2秒遅れの3位。ペドロサが蓋になっていて、ストーナーを追走することが出来ない。スタートでのポジションダウンが響いてしまった。

ロレンソがスタートの失敗を挽回して4位に上がっている。

ロレンソはキャリアを通じて1周目から速いライダーだった。
その片鱗が見える。

2周目に入り、ロッシがペドロサを抜き2位に上がるも、ストーナーとの差は既に3秒まで開いてしまっている。

ロッシは必死にストーナーを追うも、その距離は一向に縮まらない。

5周目にはロレンソがペドロサをパスして3位に上がる。この時点で2位のロッシとの差は2秒、その3秒前にトップのストーナーが走行していた。

4位争い、6位争いが激化

6周目にエリアスがペドロサをパスして4位に上がる。中野、ドビチオーゾ、トーズランドが6位争いを繰り広げている。

ロッシが着いていけなくなった途端にストーナーが転倒!

レースの流れが変わったのは、それまで1周を1分35秒台で走行していたストーナーが、34秒台での走行を始めた6周目からだった。ロッシもストーナーに合わせてペースアップするも、34秒台を記録できたのは6周目だけで、7周目には35秒台に戻ってしまう。

ストーナーは7周目も34秒台を記録し、一度は縮まりだしたロッシとの差を3秒まで戻した。この段階でロッシは2位に落ち着くことを選択したようにも見えた。

しかし迎えた8周目の10コーナーで、ストーナーは単独スリップダウンしてしまう。

前戦に続き、ロッシがストーナー追走を断念した段階で、ストーナーが勝手に転倒し、ロッシがトップに立った!
流れと言うのは、本当にコワイね。

この時点で残りは20周。ロッシとロレンソは2.8秒差。この差はフィニッシュまで変わらなかった。

ロッシはトップ走行中、一度も34秒台での走行はしていない。

レースに"If"は無いが、ストーナーは34秒台に載せず、35秒台をキープしても勝てていたかもしれない。

争いは最終周に

この日は気温が35度と高く、中盤以降は各ライダーともペースを守った走りになっているように感じたが、最終周に6位争いが激しくなる。

最終周に入った時点での順位とタイムは次のようだった。

①ロッシ
↓ 3.0
②ロレンソ
↓ 8.8
③エリアス
↓ 4.9
④ペドロサ
↓ 7.2
⑤バーミューレン
↓ 2.4
⑥トーズランド
↓ 0.2
⑦カピロッシ
↓ 0.1
⑧ドビチオーゾ

上位は順位保持の安定走行を続けている中、トーズランド、カピロッシ、ドビチオーゾが6位を争った。

結果として順位は変わらなかったものの、クリーンな見ごたえのあるバトルを繰り広げた。

ロッシが最高峰クラス最多勝利 : ミサノGPの結果

ロッシが最高峰クラスで68勝目を記録。これはジャコモ・アゴスティーニに並ぶ、歴代最高勝利数である。

また、チームメイトのロレンソが、ル・マン以来4か月ぶりに登壇し、ヤマハファクトリーにとって、嬉しい一日となった。
3位のトニー・エリアスも2戦連続の表彰台である。

順位 Rider トップとのタイム差 タイヤメーカー
1 Valentino ROSSI - ブリヂストン
2 Jorge LORENZO 3.163 ミシュラン
3 Toni ELIAS 11.705 ブリヂストン
4 Dani PEDROSA 17.470 ミシュラン
5 Chris VERMEULEN 23.409 ブリヂストン
6 James TOSELAND 26.208 ミシュラン
7 Loris CAPIROSSI 26.824 ブリヂストン
8 Andrea DOVIZIOSO 27.591 ミシュラン
9 Marco MELANDRI 33.169 ブリヂストン
10 Colin EDWARDS 36.529 ミシュラン
11 Sylvain GUINTOLI 42.081 ブリヂストン
12 中野 真矢 43.808 ブリヂストン
13 Anthony WEST 54.874 ブリヂストン
14 John HOPKINS 55.154 ブリヂストン
R Casey STONER、Alex DE ANGELIS、Randy DE PUNIET

 

ロッシ躍進 : ポイントランキング

ロッシがストーナーとの差を75ポイントまで開き、年間王者を射程圏内に捉えた。ストーナーは3位のペドロサに2ポイント差まで迫られ、優勝争いどころではない状態となってしまっている。

ライダーランキング

順位 ライダー チーム ポイント
1 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 262
2 Casey STONER Ducati Marlboro Team 187
3 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 185
4 Jorge LORENZO Fiat Yamaha Team 140
5 Andrea DOVIZIOSO JiR Team Scot MotoGP 118
6 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 110
7 Colin EDWARDS Tech 3 Yamaha 108
8 中野 真矢 San Carlo Honda Gresini 87
9 Loris CAPIROSSI Rizla Suzuki MotoGP 86
10 James TOSELAND Tech 3 Yamaha 85
11 Nicky HAYDEN Repsol Honda Team 84
12 Toni ELIAS Alice Team 82
13 Alex DE ANGELIS San Carlo Honda Gresini 49
14 Marco MELANDRI Ducati Marlboro Team 48
15 Sylvain GUINTOLI Alice Team 47
16 Randy DE PUNIET LCR Honda MotoGP 40
17 John HOPKINS Kawasaki Racing Team 39
18 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 36
19 Ben SPIES Rizla Suzuki MotoGP 10
20 Jamie HACKING Kawasaki Racing Team 5
21 岡田 忠之 Repsol Honda Team 2

 

コンストラクターランキング

 

順位 コンストラクター ポイント
1 YAMAHA 291
2 DUCATI 228
3 HONDA 223
4 SUZUKI 139
5 KAWASAKI 66

 

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