ロッシ今期初勝利! Moto GP 2008年第4戦 上海GP

2008年にブリヂストンに履き替えたロッシが、ついに初勝利を飾ると共に、最高峰通算50勝を決めた。

ロッシと共に、高速で周回を重ね、他のライダーを引き離していったペドロサや、左足首の骨折と右足の打撲を押して走ったロレンソの活躍も見逃せない。

目次

上海GP レース前のTips

開催日 : 2008年5月4日
コンディション : ウェット
気温 : 21℃
路面温度 : 21℃

2007年の上海GPはロッシvsストーナーの第一戦

2007年の上海GPは、ロッシとストーナーの直接対決が見られる初のGPと言ってい良い。「ストーナーを抑えるには銃が必要だ。ドカティの最高速を見た時には泣きそうになった」と語ったロッシは、ストーナーを打破すべく、実に様々な策を講じる。

しかし当のストーナーは、そんなプレッシャーをものともせず、王者ロッシが背後に付いても全く動じない。セテ・ジベルナウにはあれほど効いた、ロッシの「プレッシャー作戦」が、僅か21歳のストーナーには全く通じないのだ。

困ったロッシはストーナーを攻略すべく、ありとあらゆる策を打っていった。

  • 1位 ケーシー・ストーナー
  • 2位 バレンティーノ・ロッシ
  • 3位 ジョン・ホプキンス

予選と決勝のコースコンディションが全く違う

予選はドライコンディションだったが、決勝当日の午前に大雨となったことで、環境が一気に変わってしまった。
決勝時に雨は止んでいたが、路面はウェット。
路面温度も前日の45度から、25度まで下がっている。

 

エドワーズがPPだが、ウォームアップではストーナーが最速

コーリンエドワーズがPPを獲得しているが、当日のウォームアップ走行ではストーナーが最速ラップを記録している。

ロレンソが誕生日で負傷者

決勝当日はロレンソ21歳の誕生日。
上海GP1日目、金曜日の午前に1コーナーでハイサイド転倒を起こし、左足首を骨折、右足に打撲を負っている。

上海サーキットの概要

コース全長 : 5,281m上海サーキットのレイアウト

コース幅 : 14m

コーナー数 : 右9 左4

最長ストレート : 986m

決勝レース周回数 : 28周

総走行距離 : 117.096km

ストーナーとロッシが並んだ上海GP 決勝グリッド

ストーナーは前年最終戦依頼、今期初、4戦ぶりにフロントロウに復活した。

ドカティに移籍後、全く良い所が無かったメランドリが、12番グリッドに上がってきている。

Row Grid Rider Team Time
1 1 Colin EDWARDS Tech 3 Yamaha 1'58.139
2 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 1'58.494
3 Casey STONER Ducati Marlboro Team 1'58.591
2 4 Jorge LORENZO Fiat Yamaha Team 1'58.711
5 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 1'58.855
6 Loris CAPIROSSI Rizla Suzuki MotoGP 1'58.941
3 7 James TOSELAND Tech 3 Yamaha 1'59.254
8 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 1'59.325
9 Randy DE PUNIET LCR Honda MotoGP 1'59.357
4 10 Nicky HAYDEN Repsol Honda Team 1'59.507
11 Andrea DOVIZIOSO JiR Team Scot MotoGP 1'59.559
12 Marco MELANDRI Ducati Marlboro Team 1'59.678
5 13 中野 真矢 San Carlo Honda Gresini 1'59.716
14 John HOPKINS Kawasaki Racing Team 1'59.740
15 Toni ELIAS Alice Team 1'59.933
6 16 Alex DE ANGELIS San Carlo Honda Gresini 2'00.316
17 Sylvain GUINTOLI Alice Team 2'00.760
18 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 2'00.838

 

上海GP 見どころはロッシvsペドロサの高速周回

ウォームアップ走行の開始時に、ロレンソがエンストを起こすという、珍しいシーンが見られる。

決勝ではエドワーズが好スタートを切るが、1コーナーでストーナーがエドワーズのインに入り、ホールショットを奪うものの、僅かにアウトにはらんでしまい、その間を縫ってエドワーズがトップに立つ。
エドワーズ、ストーナー、ロッシ、ペドロサ、ロレンソと続く。

10番グリッドスタートのヘイデンが6位に、12番グリッドのメランドリが7位に上がっている。

半周でエドワーズがストーナーとの差を広げるが、バックストレートで追いつかれる。

ロッシがストーナーに仕掛けるものの、ブロックされる。

ペドロサが最終コーナー立ち上がりの加速でロッシに並びパスする。

2周目

ストーナーが1コーナーでエドワーズのインに入りパスするも、1周目同様に1コーナーで膨らんでしまい、エドワーズとペドロサに抜かれる。これにより順位がエドワーズ、ペドロサ、ストーナー、ロッシの順になる。

5コーナーの立ち上がりで、ペドロサがエドワーズをパス。

6コーナーのブレーキングでロッシがストーナーをパスし、ペドロサ、エドワーズ、ロッシ、ストーナーの順になる。

ペドロサがリードを広げ始めていて、ロッシは少しでも早くエドワーズを抜き、ペドロサを追走したい。

ヘイデンがロレンソをパスし、5位に上がる。

バックストレートで、ロッシがエドワーズをパスし、ブレーキングで一気にペドロサに迫るが、深いライン(鋭角な立ち上がり)を試みたため、逆にエドワーズにインを刺され抜き返される。

3周目

1コーナーでロッシがエドワーズをインから抜き、再び2位に。

4位のストーナーがヘイデンにプレッシャーを受けている。6位のロレンソのペースも上がらず、カピロッシのプレッシャーを受けている。

ドビチオーゾがカピロッシをパスし、ロレンソに続く7位に上がる。

ドビチオーゾがバックストレート後のコーナーでロレンソをパスして6位に上がる。

4周目

ロレンソはカピロッシにも抜かれ8位に落ちる。

メランドリもロレンソを抜き、ロレンソは9位に。

5周目

4周目終了時の順位とタイムは次のようになり、ロッシとペドロサが抜けている。

ペドロサ
↓ 0.4秒
ロッシ
↓ 2.2秒
エドワーズ
↓ 0.5秒
ストーナー
↓ 0.9秒
ヘイデン

ロッシがバックストレート進入の立ち上がりで、ペドロサのスリップストリームに入ることに成功し、バックストレートエンドでペドロサをパスしてトップに立つ。

6周目

バックストレートエンドで、3位走行のエドワーズがコースアウト。転倒は免れたが、ストーナー、ヘイデン、ドビチオーゾ、メランドリにパスされて一気に7位に落ちる。

7周目

7周目に入った時点での順位とタイムは次のとおり。

ロッシ
↓ 0.1秒
ペドロサ
↓ 4.3秒
ストーナー
↓ 0.8秒
ヘイデン
↓ 0.4秒
ドビチオーゾ

バーミューレンがタイヤ交換の為ピットインする。タイヤ交換後にエンストしてしまい。そのままリタイヤとなる。

8周目

メランドリがドビチオーゾとヘイデンをパスして4位に上がる。

メランドリ復活か?
久しぶりに見る、自信ある走りだ。

9周目

ドビチオーゾがヘイデンをパスし、5位に上がる。

10周目

10周目に入った時点での順位とタイムは次のとおり。

ロッシ
↓ 0.2秒
ペドロサ
↓ 5.9秒
ストーナー
↓ 2.7秒
メランドリ
↓ 0.2秒
ドビチオーゾ

ペドロサはロッシの様子を伺いながら、追走している。積極的に攻めてはいない。

11周目

ロッシがペースアップするが、ペドロサはこれに対応し、ロッシを射程内に捉えている。

 

12周目

12周目に入った時点での順位とタイムは次のとおり。
順位変動は無いが、2位のペドロサと3位のストーナーの差が、2周で2秒開いている。ストーナーもメランドリとの差を0.7秒開いていることからも、ロッシとペドロサが飛びぬけて速いことが分かる。

ロッシ
↓ 0.2秒
ペドロサ
↓ 7.9秒
ストーナー
↓ 3.4秒
メランドリ
↓ 0.4秒
ドビチオーゾ

ロレンソがヘイデンをパスして7位に上がってきている。

14周目

ロッシとペドロサの先頭集団と、それ以下のタイム差がさらに1秒開いた。

ロッシ
↓ 0.2秒
ペドロサ
↓ 9.0秒
ストーナー
↓ 5.2秒
メランドリ
↓ 0.3秒
ドビチオーゾ

ロレンソがエドワーズをパスして6位に、更にバックストレートエンドでドビチオーゾをパスして5位に上がる。

骨折男がタイムを上げている!

ここまでのロレンソのラップタイムはこうなっている。

1周目  2'07.3
5周目  2'01.3
10周目 2'01.3
11周目 2'01.2
12周目 2'00.4
13周目 2'00.5
14周目 2'00.6

ケガをしているにも関わらず、ラップタイムが上がるというのは、、、、どういうことだ?

レース中盤で、2分フラットのタイムをコンスタントに刻めているのは、ストーナー、ロレンソ、カピロッシの3人だけ。
ロッシとペドロサは1分59秒台で走行している。

15周目

ロレンソがメランドリをパスして、4位に上がる。

17周目

2位ペドロサと3位ストーナーの差が11秒まで開いている。
この状態では、さすがのストーナーでも、先頭集団には追い付けない。

ロッシ
↓ 0.2秒
ペドロサ
↓ 11.4秒
ストーナー
↓ 6.5秒
ロレンソ
↓ 0.2秒
メランドリ

18周目

ロッシがペースアップし、ベストタイムである1'59.273をマークする。ペドロサもこれに続き、同じくベストラップ1'59.384をマーク。

19周目

ロッシは前周と同じ、59秒台で走行するが、ペドロサのタイムは2分00秒に落ちてしまい、両者の差が1.3秒まで開く。

20周目

ロッシはコンスタントに59秒台で走行するが、ペドロサは2分00秒台。両者の差が2秒を超える。

21周目

21周目に入った段階でのタイム。

ロッシ
↓ 2.4秒
ペドロサ
↓ 13.5秒
ストーナー
↓ 4.1秒
ロレンソ
↓ 1.6秒
メランドリ

最終周

ロッシはラップタイムを2分1秒台に落とすが、ペドロサとの差は3秒以上あり、順位は変わらずそのままフィニッシュ。

 

ロッシが今季初勝利と通算50勝を決める 上海GPの結果

 

順位 Rider トップとのタイム差 タイヤメーカー
1 Valentino ROSSI ブリヂストン
2 Dani PEDROSA 3.890 ミシュラン
3 Casey STONER 15.928 ブリヂストン
4 Jorge LORENZO 22.494 ミシュラン
5 Marco MELANDRI 26.957 ブリヂストン
6 Nicky HAYDEN 28.369 ミシュラン
7 Colin EDWARDS 29.780 ミシュラン
8 Toni ELIAS 30.225 ブリヂストン
9 Loris CAPIROSSI 31.440 ブリヂストン
10 中野 真矢 35.969 ブリヂストン
11 Andrea DOVIZIOSO 36.246 ミシュラン
12 James TOSELAND 43.191 ミシュラン
13 Randy DE PUNIET 43.442 ミシュラン
14 John HOPKINS 45.855 ブリヂストン
15 Sylvain GUINTOLI 46.330 ブリヂストン
16 Alex DE ANGELIS 50.593 ブリヂストン
17 Anthony WEST 1'05.593 ブリヂストン
R Chris VERMEULEN

 

ペドロサが首位に返り咲き : ポイントランキング

ペドロサが首位に返り咲き、ロッシが2位のロレンソに2ポイント差に迫ってきた。

ライダーランキング

順位 ライダー チーム ポイント
1 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 81
2 Jorge LORENZO Fiat Yamaha Team 74
3 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 72
4 Casey STONER Ducati Marlboro Team 56
5 Loris CAPIROSSI Rizla Suzuki MotoGP 33
6 James TOSELAND Tech 3 Yamaha 33
7 Colin EDWARDS Tech 3 Yamaha 31
8 Nicky HAYDEN Repsol Honda Team 29
9 Andrea DOVIZIOSO JiR Team Scot MotoGP 26
10 John HOPKINS Kawasaki Racing Team 26
11 Marco MELANDRI Ducati Marlboro Team 23
12 中野 真矢 San Carlo Honda Gresini 22
13 Toni ELIAS Alice Team 15
14 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 14
15 Randy DE PUNIET LCR Honda MotoGP 11
16 Alex DE ANGELIS San Carlo Honda Gresini 7
17 Sylvain GUINTOLI Alice Team 4
18 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 3

 

コンストラクターランキング

順位 コンストラクター ポイント
1 YAMAHA 90
2 HONDA 81
3 DUCATI 56
4 SUZUKI 34
5 KAWASAKI 26

 

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