Moto GP 2007年第18戦 バレンシアGP

2007年最終戦は23万7千人がサーキットに押し掛けるという、一大イベントとなった。

その注目を集めたのは、地元ライダーのダニ・ペドロサ。

この一戦で優勝すれば、あのロッシを抜き、年間ランキング2位に上がれるかもしれない。

ペドロサは地元の期待に応え、ポール・ポジションから一気に勝負をかけていった。

目次

バレンシアGP レース前のTips

開 催 日 : 2007年11月4日
コンディション : ドライ
気   温 : 19℃
路 面 温 度 : 25℃

ロッシがまさかの転倒! 大波乱だった2006年のバレンシアGP

2006年のバレンシアGPは、大波乱の2006年を象徴するに相応しいレースだった。

前戦のヘイデンの転倒でトップに立ったロッシは、2位にさえなれば6年連続の年間優勝となる。気合十分のロッシは予選から絶好調で、ポールポジションを獲得した。一方のヘイデンは5番グリッドからのスタートとなり、誰もがロッシの年間優勝は硬いと考えていた。

しかしロッシはスタートに失敗し、6位に後退する。一方のヘイデンは4位に上がった。

ロッシの前にはストーナー、メランドリ、カピロッシが走行していて、抜くのは容易ではない。その状態に焦ったのか、ロッシはまさかの転倒を喫し、最下位まで順位を落としてしまう。

これによって、形勢は一気に複雑化。ロッシとヘイデンのそれぞれが何位でゴールするかによって、年間優勝が決まるという緊迫の展開となった。

  • 1位 トロイ・ベイリス
  • 2位 ロリス・カピロッシ
  • 3位 ニッキー・ヘイデン

ペドロサはロッシを抜いてランキング2位に上がれるか?

前戦終了時点で、ランキング2位のロッシと3位のペドロサの差は24ポイント。

ペドロサが年間ランキング2位になるためには、ペドロサが優勝してロッシがノーポイントとならなければいけない。

ペドロサにとっては、優勝は絶対条件なのだ。

ロッシが骨折

そのロッシだが、昨年の因縁だろうか?、予選2日目に転倒し、右手の骨を3本折ってしまった。

映像では、右手の小指と薬指を束ねるように、簡易なテーピングだけが行われているロッシの姿が見られる。

右手はアクセルとブレーキの手だ。動くように固定する(?)必要性は分からなくも無いが、骨折の処置としては、あまりに心もとない。

痛そうだ。

ホプキンス、メランドリ、カピロッシ、ドプニエが移籍

2007年最終戦という事で、このレースを最後に別チームに移るライダーがいる。

  • ジョン・ホプキンス : スズキからカワサキへ
  • マルコ・メランドリ : ホンダからドカティへ
  • ロリス・カピロッシ : ドカティからスズキへ
  • ランディ・ドプニエ : カワサキからホンダへ

様々な要因があるのだろうけど、ホプキンスのスズキ離脱は勿体ない。
全く勝てなかった、スズキマシン。
リタイヤしたときに、マシンを蹴っ飛ばしたこともあったホプキンスが、バーミューレンと共に開発してきたマシンが、ようやく安定して好成績を出せるようになってきたのに、その果実を逃すことにならないか?

チェカ、バロス、玉田がMotoGPを去る

カルロス・チェカ、アレックス・バロス、玉田誠がこのレースを最後にMoto GPを去ることになった。

バレンシアGPで消えた? 1万2千人の謎

    バレンシアGPは、MotoGPで唯一のスタジアム式サーキットで開催される。

    野球場のように観客席がコースを囲むように設けられているので、多くの客席からコース全体が見渡せるという、とても有難いサーキットだ。一度は行ってみたい。

    サーキットの様子

    スタジアムは巨大で、キャパシティは12万人もある。東京ドームの収容人数は5万5千人、日本最大の日産スタジアムでも7万2千人なので、12万人というのはその2つのドームを足した位ということか?

    しかしである。バレンシアGPに詰めかけた観客の数は3日間で23万7千人、決勝日だけでも13万2千人である。

    12万人の席に入りきれなかった1万2千人は、一体どこに行ったのでしょうか?

    バレンシアサーキットの概要

    コミュニタットバレンシアナサーキットのコース図コース全長 : 4,005m

    コース幅 : 12m

    コーナー数 : 右5 左9

    最長ストレート : 876m

    決勝レース周回数 : 30周

    総走行距離 : 120.15km

    バレンシアGP 決勝のグリッド

    ペドロサがついに4戦連続のポールポジションを獲得している。骨折のロッシは17番グリッド。

    Row Grid Rider Team Time
    1 1 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 1'31.517
    2 Casey STONER Ducati Marlboro Team 1'31.603
    3 Nicky HAYDEN Repsol Honda Team 1'31.903
    2 4 Randy DE PUNIET Kawasaki Racing Team 1'31.963
    5 Sylvain GUINTOLI Dunlop Yamaha Tech 3 1'32.074
    6 玉田 誠 Dunlop Yamaha Tech 3 1'32.151
    3 7 John HOPKINS Rizla Suzuki MotoGP 1'32.165
    8 Loris CAPIROSSI Ducati Marlboro Team 1'32.261
    9 Carlos CHECA Honda LCR 1'32.273
    4 10 Marco MELANDRI Honda Gresini 1'32.367
    11 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 1'32.617
    12 Alex BARROS Pramac d'Antin 1'32.714
    5 13 中野 真矢 Konica Minolta Honda 1'32.730
    14 Toni ELIAS Honda Gresini 1'32.790
    15 Colin EDWARDS Fiat Yamaha Team 1'33.021
    6 16 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 1'33.231
    17 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 1'33.290
    18 Kurtis ROBERTS Team Roberts 1'33.431

     

    ロッシにまたも不運! 骨折の痛みは序章でしかなかった

    ホールショットは ストーナー。レプソルホンダの2人、ヘイデンとペドロサが続く。
    第2コーナーでペドロサがヘイデンをパスして2位に上がる。
    4位のホプキンスもヘイデンをパスする勢いで走行している。

    半周が過ぎた段階で、ストーナーは早くも2位のペドロサに1秒差をつけている。
    ロッシはグリッドと同じく、17位を走行。

    2周目

    ペドロサがペースに乗り始め、ストーナーと同ペースで周回し始める。

    ストーナーがニューサーキットレコードを出す。

    3周目

    ヘイデン、メランドリ、ホプキンスが3位を争っている。

    4周目

    ロッシは17位のまま周回。

    ホプキンスがヘイデンをパスして3位に上がる。2位のペドロサとは2.5秒差。

    5周目

    メランドリがヘイデンを抜くが、コーナー立ち上がりで抜き返される。

    メランドリの走りが、かなりアグレッシブ。
    全戦と同じ轍を踏むか?

    ペドロサがサーキットレコードを更新する。

    6周目

    ペドロサがホームストレートでストーナーのスリップストリームを使い、1コーナー進入でトップに立つ。

    7周目

    メランドリがヘイデンをパスして4位に上がる。

    8周目

    この時点の上位タイムは次の通り

    ペドロサ
    ↓ 0.4秒
    ストーナー
    ↓ 3.1秒
    ホプキンス
    ↓ 1.8秒
    メランドリ
    ↓ 0.5秒
    ヘイデン
    ↓ 0.2秒
    カピロッシ

    ロッシはトップから17秒遅れの16位を走行している。

    10周目

    この時点の上位タイムは次の通り

    ペドロサ
    ↓ 0.4秒
    ストーナー
    ↓ 3.1秒
    ホプキンス
    ↓ 1.8秒
    メランドリ
    ↓ 0.5秒
    ヘイデン
    ↓ 0.2秒
    カピロッシ

    ロッシはトップから17秒遅れの16位を走行している。

    このままの順位でペドロサが優勝してしまうと、ロッシは年間ランキング3位に落ちる。
    ロッシが2位を維持するには、最低でも2.1秒前を走るカルロス・チェカを抜いて、15位に入り、1ポイントを獲得しなければならない。

    11周目

    ロバーツがリタイヤ。

    12周目

    ロッシがチェカとのタイムを1秒まで縮める。

    14周目

    チェカが中野をパス。

    ロッシが中野をパスしポイント圏内に入る。

    15周目

    この時点の上位タイムは次の通り

    ペドロサ
    ↓ 1.6秒
    ストーナー
    ↓ 5.7秒
    ホプキンス
    ↓ 3.9秒
    メランドリ
    ↓ 4.1秒
    ヘイデン
    ↓ 0.3秒
    カピロッシ

    17周目

    ロッシが玉田をパスして14位に上がる

    18周目

    第一コーナーでロッシのマシンが急にスローダウン。一気に18位に転落する。

    19周目

    ヘイデンとメランドリが、コーナーごとに順位を入れ替える激しい4位争いを展開する。

    ロッシがピットイン!
    そのままリタイヤ!

    当初は骨折の痛みが原因かと思われたが、実はエンジントラブル。
    なんという不運!

    21周目

    この時点の上位タイムは次の通り

    ペドロサ
    ↓ 1.8秒
    ストーナー
    ↓ 9.6秒
    ホプキンス
    ↓ 5.0秒
    ヘイデン
    ↓ 0.2秒
    メランドリ
    ↓ 1.9秒
    カピロッシ

    ストーナーとペドロサが他より1.5秒早いラップで周回している。

    2006年の開幕戦で感じた新時代の到来は、ここにきて、確定的になった!

    22周目

    メランドリがヘイデンのスリップストリームを使い、4位に上がる。

    25周目

    カピロッシがヘイデンをパスし5位に上がる。ヘイデンはバーミューレンからもプレッシャーを受けている。

    ストーナーはレース後のインタビューで、このころに左リアエンドに問題が発生し、2度ほどスライドしたため、ペースを抑えざるをえなかったと語った。

    26周目

    バーミューレンがヘイデンをパスして6位に上がる。

    29周目

    この時点の上位タイムは次の通り

    ペドロサ
    ↓ 3.2秒
    ストーナー
    ↓ 13.9秒
    ホプキンス
    ↓ 6.0秒
    メランドリ
    ↓ 2.5秒
    カピロッシ
    ↓ 0.5秒
    バーミューレン

    最終周

    順位変動なくゴール。
    ペドロサはロッシと1ポイント差で年間ランキング2位となる。

    2008年シーズンへの期待が高まったバレンシアGP

    2007年最終戦は翌年への期待が高まるレース結果となった。

    順位 Rider トップとのタイム差 タイヤメーカー
    1 Dani PEDROSA ミシュラン
    2 Casey STONER 5.447 ブリヂストン
    3 John HOPKINS 20.404 ブリヂストン
    4 Marco MELANDRI 24.827 ブリヂストン
    5 Loris CAPIROSSI 25.804 ブリヂストン
    6 Chris VERMEULEN 25.862 ブリヂストン
    7 Alex BARROS 29.470 ブリヂストン
    8 Nicky HAYDEN 30.333 ミシュラン
    9 Randy DE PUNIET 30.895 ブリヂストン
    10 Toni ELIAS 31.030 ブリヂストン
    11 Sylvain GUINTOLI 38.763 ダンロップ
    12 Carlos CHECA 42.506 ミシュラン
    13 Colin EDWARDS 46.572 ミシュラン
    14 中野 真矢 50.220 ミシュラン
    15 玉田 誠 56.879 ダンロップ
    16 Anthony WEST 1'15.369 ブリヂストン
    R Valentino ROSSI、Kurtis ROBERTS

    2007年最終のポイントランキング

    2007年の最終ポイントランキングはこのようになった。ペドロサ、ホプキンス、ヘイデンが順位を上げている。

    ライダーランキング

    順位 ライダー チーム ポイント
    1 Casey STONER Ducati Marlboro Team 367
    2 Dani PEDROSA Repsol Honda Team 242
    3 Valentino ROSSI Fiat Yamaha Team 241
    4 John HOPKINS Rizla Suzuki MotoGP 189
    5 Marco MELANDRI Honda Gresini 187
    6 Chris VERMEULEN Rizla Suzuki MotoGP 179
    7 Loris CAPIROSSI Ducati Marlboro Team 166
    8 Nicky HAYDEN Repsol Honda Team 127
    9 Colin EDWARDS Fiat Yamaha Team 121
    10 Alex BARROS Pramac d'Antin 115
    11 Randy DE PUNIET Kawasaki Racing Team 108
    12 Toni ELIAS Honda Gresini 104
    13 Alex HOFMANN Pramac d'Antin 65
    14 Carlos CHECA Honda LCR 65
    15 Anthony WEST Kawasaki Racing Team 59
    16 Sylvain GUINTOLI Dunlop Yamaha Tech 3 50
    17 中野 真矢 Konica Minolta Honda 47
    18 玉田 誠 Dunlop Yamaha Tech 3 38
    19 Kurtis ROBERTS Team Roberts 10
    20 Roger Lee HAYDEN Kawasaki Racing Team 6
    21 Michel FABRIZIO Honda Gresini 6
    22 Fonsi NIETO Kawasaki Racing Team 5
    23 Olivier JACQUE Kawasaki Racing Team 4
    24 Kenny ROBERTS JR Team Roberts 4
    25 青木 宣篤 Rizla Suzuki MotoGP 3
    25 伊藤 真一 Pramac d'Antin 1

    コンストラクターランキング

    順位 コンストラクター ポイント
    1 DUCATI 394
    2 HONDA 313
    3 YAMAHA 283
    4 SUZUKI 241
    5 KAWASAKI 144
    6 KR212V 14

       

       

       

      コメントを残す

      CAPTCHA


      関連キーワード

      Twitterでフォローしよう

      おすすめの記事