2007年最終戦は23万7千人がサーキットに押し掛けるという、一大イベントとなった。
その注目を集めたのは、地元ライダーのダニ・ペドロサ。
この一戦で優勝すれば、あのロッシを抜き、年間ランキング2位に上がれるかもしれない。
ペドロサは地元の期待に応え、ポール・ポジションから一気に勝負をかけていった。
目次
バレンシアGP レース前のTips
開 催 日 : 2007年11月4日
コンディション : ドライ
気 温 : 19℃
路 面 温 度 : 25℃
ロッシがまさかの転倒! 大波乱だった2006年のバレンシアGP
2006年のバレンシアGPは、大波乱の2006年を象徴するに相応しいレースだった。
前戦のヘイデンの転倒でトップに立ったロッシは、2位にさえなれば6年連続の年間優勝となる。気合十分のロッシは予選から絶好調で、ポールポジションを獲得した。一方のヘイデンは5番グリッドからのスタートとなり、誰もがロッシの年間優勝は硬いと考えていた。
しかしロッシはスタートに失敗し、6位に後退する。一方のヘイデンは4位に上がった。
ロッシの前にはストーナー、メランドリ、カピロッシが走行していて、抜くのは容易ではない。その状態に焦ったのか、ロッシはまさかの転倒を喫し、最下位まで順位を落としてしまう。
これによって、形勢は一気に複雑化。ロッシとヘイデンのそれぞれが何位でゴールするかによって、年間優勝が決まるという緊迫の展開となった。
- 1位 トロイ・ベイリス
- 2位 ロリス・カピロッシ
- 3位 ニッキー・ヘイデン
ペドロサはロッシを抜いてランキング2位に上がれるか?
前戦終了時点で、ランキング2位のロッシと3位のペドロサの差は24ポイント。
ペドロサが年間ランキング2位になるためには、ペドロサが優勝してロッシがノーポイントとならなければいけない。
ペドロサにとっては、優勝は絶対条件なのだ。
ロッシが骨折
そのロッシだが、昨年の因縁だろうか?、予選2日目に転倒し、右手の骨を3本折ってしまった。
映像では、右手の小指と薬指を束ねるように、簡易なテーピングだけが行われているロッシの姿が見られる。
右手はアクセルとブレーキの手だ。動くように固定する(?)必要性は分からなくも無いが、骨折の処置としては、あまりに心もとない。
痛そうだ。
ホプキンス、メランドリ、カピロッシ、ドプニエが移籍
2007年最終戦という事で、このレースを最後に別チームに移るライダーがいる。
- ジョン・ホプキンス : スズキからカワサキへ
- マルコ・メランドリ : ホンダからドカティへ
- ロリス・カピロッシ : ドカティからスズキへ
- ランディ・ドプニエ : カワサキからホンダへ
全く勝てなかった、スズキマシン。
リタイヤしたときに、マシンを蹴っ飛ばしたこともあったホプキンスが、バーミューレンと共に開発してきたマシンが、ようやく安定して好成績を出せるようになってきたのに、その果実を逃すことにならないか?
チェカ、バロス、玉田がMotoGPを去る
カルロス・チェカ、アレックス・バロス、玉田誠がこのレースを最後にMoto GPを去ることになった。
バレンシアGPで消えた? 1万2千人の謎
バレンシアGPは、MotoGPで唯一のスタジアム式サーキットで開催される。
野球場のように観客席がコースを囲むように設けられているので、多くの客席からコース全体が見渡せるという、とても有難いサーキットだ。一度は行ってみたい。
サーキットの様子
スタジアムは巨大で、キャパシティは12万人もある。東京ドームの収容人数は5万5千人、日本最大の日産スタジアムでも7万2千人なので、12万人というのはその2つのドームを足した位ということか?
しかしである。バレンシアGPに詰めかけた観客の数は3日間で23万7千人、決勝日だけでも13万2千人である。
12万人の席に入りきれなかった1万2千人は、一体どこに行ったのでしょうか?
バレンシアサーキットの概要
コース幅 : 12m
コーナー数 : 右5 左9
最長ストレート : 876m
決勝レース周回数 : 30周
総走行距離 : 120.15km
バレンシアGP 決勝のグリッド
ペドロサがついに4戦連続のポールポジションを獲得している。骨折のロッシは17番グリッド。
Row | Grid | Rider | Team | Time |
1 | 1 | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 1'31.517 |
2 | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 1'31.603 | |
3 | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 1'31.903 | |
2 | 4 | Randy DE PUNIET | Kawasaki Racing Team | 1'31.963 |
5 | Sylvain GUINTOLI | Dunlop Yamaha Tech 3 | 1'32.074 | |
6 | 玉田 誠 | Dunlop Yamaha Tech 3 | 1'32.151 | |
3 | 7 | John HOPKINS | Rizla Suzuki MotoGP | 1'32.165 |
8 | Loris CAPIROSSI | Ducati Marlboro Team | 1'32.261 | |
9 | Carlos CHECA | Honda LCR | 1'32.273 | |
4 | 10 | Marco MELANDRI | Honda Gresini | 1'32.367 |
11 | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 1'32.617 | |
12 | Alex BARROS | Pramac d'Antin | 1'32.714 | |
5 | 13 | 中野 真矢 | Konica Minolta Honda | 1'32.730 |
14 | Toni ELIAS | Honda Gresini | 1'32.790 | |
15 | Colin EDWARDS | Fiat Yamaha Team | 1'33.021 | |
6 | 16 | Anthony WEST | Kawasaki Racing Team | 1'33.231 |
17 | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 1'33.290 | |
18 | Kurtis ROBERTS | Team Roberts | 1'33.431 |
ロッシにまたも不運! 骨折の痛みは序章でしかなかった
ホールショットは ストーナー。レプソルホンダの2人、ヘイデンとペドロサが続く。
第2コーナーでペドロサがヘイデンをパスして2位に上がる。
4位のホプキンスもヘイデンをパスする勢いで走行している。
半周が過ぎた段階で、ストーナーは早くも2位のペドロサに1秒差をつけている。
ロッシはグリッドと同じく、17位を走行。
2周目
ペドロサがペースに乗り始め、ストーナーと同ペースで周回し始める。
ストーナーがニューサーキットレコードを出す。
3周目
ヘイデン、メランドリ、ホプキンスが3位を争っている。
4周目
ロッシは17位のまま周回。
ホプキンスがヘイデンをパスして3位に上がる。2位のペドロサとは2.5秒差。
5周目
メランドリがヘイデンを抜くが、コーナー立ち上がりで抜き返される。
全戦と同じ轍を踏むか?
ペドロサがサーキットレコードを更新する。
6周目
ペドロサがホームストレートでストーナーのスリップストリームを使い、1コーナー進入でトップに立つ。
7周目
メランドリがヘイデンをパスして4位に上がる。
8周目
この時点の上位タイムは次の通り
ペドロサ
↓ 0.4秒
ストーナー
↓ 3.1秒
ホプキンス
↓ 1.8秒
メランドリ
↓ 0.5秒
ヘイデン
↓ 0.2秒
カピロッシ
ロッシはトップから17秒遅れの16位を走行している。
10周目
この時点の上位タイムは次の通り
ペドロサ
↓ 0.4秒
ストーナー
↓ 3.1秒
ホプキンス
↓ 1.8秒
メランドリ
↓ 0.5秒
ヘイデン
↓ 0.2秒
カピロッシ
ロッシはトップから17秒遅れの16位を走行している。
ロッシが2位を維持するには、最低でも2.1秒前を走るカルロス・チェカを抜いて、15位に入り、1ポイントを獲得しなければならない。
11周目
ロバーツがリタイヤ。
12周目
ロッシがチェカとのタイムを1秒まで縮める。
14周目
チェカが中野をパス。
ロッシが中野をパスしポイント圏内に入る。
15周目
この時点の上位タイムは次の通り
ペドロサ
↓ 1.6秒
ストーナー
↓ 5.7秒
ホプキンス
↓ 3.9秒
メランドリ
↓ 4.1秒
ヘイデン
↓ 0.3秒
カピロッシ
17周目
ロッシが玉田をパスして14位に上がる
18周目
第一コーナーでロッシのマシンが急にスローダウン。一気に18位に転落する。
19周目
ヘイデンとメランドリが、コーナーごとに順位を入れ替える激しい4位争いを展開する。
ロッシがピットイン!
そのままリタイヤ!
なんという不運!
21周目
この時点の上位タイムは次の通り
ペドロサ
↓ 1.8秒
ストーナー
↓ 9.6秒
ホプキンス
↓ 5.0秒
ヘイデン
↓ 0.2秒
メランドリ
↓ 1.9秒
カピロッシ
ストーナーとペドロサが他より1.5秒早いラップで周回している。
2006年の開幕戦で感じた新時代の到来は、ここにきて、確定的になった!
22周目
メランドリがヘイデンのスリップストリームを使い、4位に上がる。
25周目
カピロッシがヘイデンをパスし5位に上がる。ヘイデンはバーミューレンからもプレッシャーを受けている。
26周目
バーミューレンがヘイデンをパスして6位に上がる。
29周目
この時点の上位タイムは次の通り
ペドロサ
↓ 3.2秒
ストーナー
↓ 13.9秒
ホプキンス
↓ 6.0秒
メランドリ
↓ 2.5秒
カピロッシ
↓ 0.5秒
バーミューレン
最終周
順位変動なくゴール。
ペドロサはロッシと1ポイント差で年間ランキング2位となる。
2008年シーズンへの期待が高まったバレンシアGP
2007年最終戦は翌年への期待が高まるレース結果となった。
順位 | Rider | トップとのタイム差 | タイヤメーカー |
1 | Dani PEDROSA | ー | ミシュラン |
2 | Casey STONER | 5.447 | ブリヂストン |
3 | John HOPKINS | 20.404 | ブリヂストン |
4 | Marco MELANDRI | 24.827 | ブリヂストン |
5 | Loris CAPIROSSI | 25.804 | ブリヂストン |
6 | Chris VERMEULEN | 25.862 | ブリヂストン |
7 | Alex BARROS | 29.470 | ブリヂストン |
8 | Nicky HAYDEN | 30.333 | ミシュラン |
9 | Randy DE PUNIET | 30.895 | ブリヂストン |
10 | Toni ELIAS | 31.030 | ブリヂストン |
11 | Sylvain GUINTOLI | 38.763 | ダンロップ |
12 | Carlos CHECA | 42.506 | ミシュラン |
13 | Colin EDWARDS | 46.572 | ミシュラン |
14 | 中野 真矢 | 50.220 | ミシュラン |
15 | 玉田 誠 | 56.879 | ダンロップ |
16 | Anthony WEST | 1'15.369 | ブリヂストン |
R | Valentino ROSSI、Kurtis ROBERTS |
2007年最終のポイントランキング
2007年の最終ポイントランキングはこのようになった。ペドロサ、ホプキンス、ヘイデンが順位を上げている。
ライダーランキング
順位 | ライダー | チーム | ポイント |
1 | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 367 |
2↑ | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 242 |
3↓ | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 241 |
4↑ | John HOPKINS | Rizla Suzuki MotoGP | 189 |
5↓ | Marco MELANDRI | Honda Gresini | 187 |
6 | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 179 |
7 | Loris CAPIROSSI | Ducati Marlboro Team | 166 |
8↑ | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 127 |
9↓ | Colin EDWARDS | Fiat Yamaha Team | 121 |
10 | Alex BARROS | Pramac d'Antin | 115 |
11 | Randy DE PUNIET | Kawasaki Racing Team | 108 |
12 | Toni ELIAS | Honda Gresini | 104 |
13 | Alex HOFMANN | Pramac d'Antin | 65 |
14 | Carlos CHECA | Honda LCR | 65 |
15 | Anthony WEST | Kawasaki Racing Team | 59 |
16 | Sylvain GUINTOLI | Dunlop Yamaha Tech 3 | 50 |
17 | 中野 真矢 | Konica Minolta Honda | 47 |
18 | 玉田 誠 | Dunlop Yamaha Tech 3 | 38 |
19 | Kurtis ROBERTS | Team Roberts | 10 |
20 | Roger Lee HAYDEN | Kawasaki Racing Team | 6 |
21 | Michel FABRIZIO | Honda Gresini | 6 |
22 | Fonsi NIETO | Kawasaki Racing Team | 5 |
23 | Olivier JACQUE | Kawasaki Racing Team | 4 |
24 | Kenny ROBERTS JR | Team Roberts | 4 |
25 | 青木 宣篤 | Rizla Suzuki MotoGP | 3 |
25 | 伊藤 真一 | Pramac d'Antin | 1 |
コンストラクターランキング
順位 | コンストラクター | ポイント |
1 | DUCATI | 394 |
2 | HONDA | 313 |
3 | YAMAHA | 283 |
4 | SUZUKI | 241 |
5 | KAWASAKI | 144 |
6 | KR212V | 14 |