2004年シーズンは「ロッシはヤマハでも勝てるのか?」という疑問と共に幕をあけた。ロッシは「勝てていたのはホンダのおかげ」という評判を払拭するために、初戦から全力でレースに挑んでいく。
そのロッシに立ちふさがったのは、2003年から急速に実力を増してきたホンダのセテ・ジベルナウだった。
目次
Moto GP 2004年の見どころ
マックスビアッジに代わって、ロッシのライバルとなったセテ・ジベルナウとのトップ争いが素晴らしい。特に年前半に良いレースが多いので、是非見て欲しい。
前半のレースは、ロッシとジベルナウの友情が未だあったので、お互いにレースを楽しんでいるのがテレビ越しにも伝わってくる。彼らの戦いは全くの互角で、事実第8戦の時には同率で首位という状況であった。
その流れが大きく変わったのは、第13戦のカタールGP。レプソル・ホンダが起こした小さなクレームが、両者の関係に決定的な亀裂を生じてしまう。
ロッシは「今後ジベルナウが勝つことは二度とない」と公言し、レース内外でジベルナウに心理戦を仕掛けていく。
年間チャンピオンの栄冠を掴む者、実力が有っても手が届かいない者、その違いがシーズンが過ぎていくと共に、はっきりと見えていくシーズンである。
★はお勧めのレース、★★は見逃せないレースです。
第1戦 南アフリカGP ★
ロッシのヤマハ移籍第一戦。
序盤からジベルナウとビアッジの激しい2位位争い。
その後は先頭を行くロッシ、全く離されないビアッジと言う状態が終盤まで続く。
残り5周でビアッジがトップに立つが、ロッシも離れず残り2周で首位奪還しゴール。
レース後にコースサイドでしゃがみ込み、マシンにキスするロッシの姿が感動的。
- 1位 バレンティーノ・ロッシ
- 2位 マックス・ビアッジ
- 3位 セテ・ジベルナウ
第2戦 スペイン ヘレスGP
⁻準備中⁻
- 1位 セテ・ジベルナウ
- 2位 マックス・ビアッジ
- 3位 アレックス・バロス
第3戦 フランスGP
⁻準備中⁻
- 1位 セテ・ジベルナウ
- 2位カルロス・チェカ
- 3位 マックス・ビアッジ
第4戦 イタリア ムジェロGP ★★
玉田の調子が良く、一時トップ走行するも、ブリヂストンタイヤの不調でリタイヤ、中野はバーストで転倒する。
ジベルナウとロッシが激しいオーバーテイクを繰り返し、最高のレースとなるが、その最中に天候が悪化し、レースは中断。残り6周のスプリントレースとして、再開。再開後直ぐに降雨となるが、その中でもロッシとジベルナウは激しい攻防を繰り返す。とても見ごたえのあるレース。
- 1位 バレンティーノ・ロッシ
- 2位 セテ・ジベルナウ
- 3位 マックス・ビアッジ
第5戦 スペイン カタルニアGP ★
気温高く、終始タイヤの消耗との闘い。ブリヂストンの消耗が激しく、また前回のバーストの影響からか、玉田などがリタイヤ。
レースは序盤からロッシとジベルナウのランデブー状態。タイヤへの配慮からか、積極的なバトルは無く、お互いにミスを狙ってパスするという展開となる。
残り3周でスパートが掛かり、最終周は両者ともリアがスライドしまくりの状態であったが、最終的にはスライドコントロールに長けたロッシが0.1秒差で振り切る。
- 1位 バレンティーノ・ロッシ、
- 2位 セテ・ジベルナウ
- 3位 マルコ・メランドリ
第6戦 オランダ アッセンGP
距離が長く、気温が高いことから、レース前から燃料切れが心配された。
プロトンはレース半分で燃料切れ、ロッシもビクトリーランで燃料切れとなっていた。それもあり、前半は積極的な走りが見られず、終盤までトップがジベルナウ、2位がロッシの状態が続く。更に3位を走っていたバロスが転倒リタイヤとなったことで、ロッシが2位をキープ事が容易になり、その状況に拍車がかかる。
残り2周で、1位争いと3位争いが激化。最終の残り半周でロッシがジベルナウをパスしゴール。ロッシの狡猾さがとても出ているレースだが、盛り上がりには欠ける。
- 1位 バレンティーノ・ロッシ
- 2位 セテ・ジベルナウ
- 3位 マルコ・メランドリ
第7戦 ブラジル リオ・デ・ジャネイロGP
ブリヂストンがマッチしたようで、PPはスズキのK.ロバーツJr。しかしバックストレートが長いレイアウトの為、馬力で劣るスズキは開始早々にホンダ、ヤマハの攻撃にさらされ後退。ビアッジが先頭に立つ。
2周目でジベルナウが転倒リタイア。ビアッジとヘイデンが序盤を引っ張る。
ストレートで有利なホンダ+マッチしたブリヂストンが奏功し、残り13種から玉田がロッシ、ヘイデンと連続してパスし2位に浮上。 その後わずかしてロッシが転倒リタイヤとなる。ランキング3位のビアッジにチャンス到来。
ビアッジ・玉田・ヘイデンで周回を重ねる。残り3周で玉田がトップに立ち、そのままゴール。初優勝を飾る。
- 1位 玉田誠
- 2位 マックス・ビアッジ
- 3位 ニッキー・ヘイデン
第8戦 ドイツGP
ポイントランキングトップ(ロッシ・ジベルナウ同率)から8ポイント差のビアッジがPPからトップで走行し、ロッシとジベルナウが続く。
3名揃って他を引き離し始めたところで、ジベルナウが転倒リタイヤ。ビアッジ・ロッシの走行がしばらく続き、残り13周でロッシが首位に立つ。ロッシは引き離しを図るが、ビアッジとバロスが追走する。
スタートに失敗し、12位に落ちたヘイデンが4位まで浮上。転倒者が多いこともあり、4名が大きなリードを築く。
ロッシのリアが消耗し、残り7周でビアッジ、バロス、ヘイデンに抜かれる。
ビアッジとバロスのペースが落ちず、2台で最終周へ。バロスが果敢に攻めるが、ビアッジは付け入るスキを与えず、そのままゴール。ランキングトップのロッシから1ポイント差に迫る。
- 1位 マックス・ビアッジ
- 2位 アレックス・バロス
- 3位 ニッキー・ヘイデン
第9戦 ブリティッシュGP
2周目にトップに立ったロッシが周回を重ねる。
コーリン・エドワーズの調子が良く、ジベルナウを交わし2位にあがり、ファステストを連発するが、ロッシには追い付けない。
その後ロッシが少しずつリードを増し、そのままフィニッシュ。前戦勝利のビアッジは、全く良い所が無く12位。ジベルナウがランキング2位に返り咲く。
あまり変化のないレース。
- 1位 バレンティーノ・ロッシ
- 2位 コーリン・エドワーズ
- 3位 セテ・ジベルナウ
第10戦 チェコGP
ジベルナウがPPから好スタートで首位走行。ビアッジは2列目から絶好のスタートを切り、2位で走行する。
3番グリットのロッシはスタートに失敗し順位を下げるが、そつなく3位に上がる。
中盤はジベルナウ、ロッシ、ビアッジ、バロス、ヘイデンの順で周回を重ねる。
残り8周でバロスが転倒しジベルナウとロッシが抜け出るものの、大きな変動はなく、最終ラップを狙う展開が続く。
残り6周でロッシが仕掛け、1位に出るも直ぐにジベルナウが抜き返す。この間にビアッジとヘイデンが追いつき、再び4台での走行となる。
残り4周でヘイデンが転倒。3台での争いとなるが、それぞれ1秒近く離れていて、バトルにはならず、そのままフィニッシュ。前戦に続き、変化の少ないレースとなった。
- 1位 セテ・ジベルナウ
- 2位 バレンティーノ・ロッシ
- 3位 マックス・ビアッジ
第11戦 ポルトガルGP
玉田がPPスタート。
1周目でビアッジが接触転倒。2周目でロッシ、玉田、バロス、ジベルナウの順となる。
ロッシのペースが良く、玉田を引き離していく。
残り10周の時点で、ロッシ、玉田共に単独走行。バロスとジベルナウも膠着状態が続き、そのままフィニッシュ。ロッシはジベルナウとのポイント差を29に伸ばす。
- 1位 バレンティーノ・ロッシ
- 2位 玉田誠
- 3位 アレックス・バロス
第12戦 日本GP
玉田がPP。
第一コーナーで先頭集団に接触転倒があり、ビアッジ、カピロッシ、ホプキンス、ヘイデン、ロバーツが転倒リタイヤ。これに巻き込まれなかった玉田が2位、中野が4位、阿部が5位につける。ジベルナウは6位。
序盤からロッシと玉田が抜け出し、6周目で玉田がトップにたつ。
9周目に阿部はエンジントラブルでリタイヤ。
12周目から玉田が徐々にアドバンテージを築く。
18周目に中野がメランドリを抜き3位に。
そのままフィニッシュ。玉田の2度目の勝利、中野の初表彰台、カワサキにとってもGP復帰後初の表彰台となった。
- 1位 玉田誠
- 2位 バレンティーノ・ロッシ
- 3位 中野真矢
第13戦 カタールGP
初のカタールGP。今とは違い昼間開催である。
気温の高さがバイクを苦しめ、リタイヤ続出、完走13台という厳しいレース。
グリッドを清掃したとのクレームがレプソル・ホンダからロッシ(予選8位)に出され、ロッシからビアッジ(〃12位)にも同じ指摘がなされた結果、ロッシとビアッジが最後列スタートとなる。
PPはチェカ、ジベルナウは3番、中野が5番グリットスタート。
スタートでロッシが9位まで上がる。2周目でジベルナウがトップ、ロッシが7位に上がる。3周目で中野が3位に上がるものの、4周目にエンジンブローでリタイア。この時点でロッシは4位まで上がっていたが、6周目に転倒リタイヤとなる。
9周目にコーリンエドワーズがチェカを抜き2位に。ジベルナウは独走態勢となり、そのままフィニッシュ。ロッシに14ポイント差に迫る。
この後、ペナルティをネタに、ロッシがジベルナウに対してメディアを通じた心理戦をかけたことから、2者の関係性が悪化していく。
- 1位 セテ・ジベルナウ
- 2位 コーリン・エドワーズ
- 3位 ルービン・チャウス
第14戦 マレーシアGP
グリッドはロッシ、バロス、中野、ジベルナウ、玉田、ヘイデン、ビアッジの順。
ホールショットはバロス、ロッシ、ヘイデン。中野は10位。
3周目でロッシがトップに立つ。ビアッジが3位に上がっている。ジベルナウは5位。
その後ビアッジが2位に上がる。
ロッシ・ビアッジ・バロスはお互いに1秒差で走行を重ねる。
ジベルナウは5位争いで後方からのプレッシャーを受ける展開。残り5周でカピロッシにパスされ、6位後退。
ロッシは順調に走行を重ねそのままフィニッシュ。ジベルナウは玉田にもパスされ、7位で終了。
- 1位 バレンティーノ・ロッシ
- 2位 マックス・ビアッジ
- 3位 アレックス・バロス
第15戦 オーストラリアGP ★
2005年を象徴するようなレース。2005年締め括りのレースと言って良い。
ロッシが2位以上となると、年間チャンピオンが決まってしまうため、ジベルナウが必死で阻止を狙う。
ロッシとジベルナウの意地のぶつかり合いが凄い!
フロントロウはジベルナウ、ロッシ、カピロッシ。
スタート時に激しく順位が入れ替わるが、フロントロウ3名が抜け出す。
ロッシが2位以上となると年間チャンピオン決定となるため、ジベルナウはロッシを3位以下に抑える走りを画策するが、3位(カピロッシ・バロス)はロッシとジベルナウのペースに付いて行けない。
残り9周でロッシが首位に立つが、ジベルナウも離されない。
残り5周でジベルナウが首位に。
最終周に入ってすぐにロッシが首位に立つが、直ぐにジベルナウが抜き返す。しかしロッシも譲らず、再びパスする。
最終コーナーまで攻防が続くが、最終的にはロッシが0.097秒差でチェッカーを受け、年間優勝を首位で飾る。
- 1位 バレンティーノ・ロッシ
- 2位 セテ・ジベルナウ
- 3位 ロリス・カピロッシ
第16戦 スペイン バレンシアGP
フロントロウは玉田、ビアッジ、ロッシ。ジベルナウは4番グリッド。
1周目から玉田がトップを快走するが、5周目でロッシとヘイデンに追いつかれ、ロッシにパスされる。
7周目で再度玉田がトップに。
15周で再度ロッシがトップ、この段階でロッシ、玉田、ビアッジ、ヘイデンが先頭集団となる。
トロイ・ベイリスが好ラップを刻み、先頭集団に追いつく。
残り13周から玉田が後退。ロッシは徐々にアドバンテージを築く。ヘイデンが転倒。
その後はタイヤ消耗もあり、積極的な展開なく、そのままゴール。
- 1位 バレンティーノ・ロッシ
- 2位 マックス・ビアッジ
- 3位 トロイ・ベイリス