ロッシが3年ぶり、8回目の最高クラス年間王者に王手を掛けたMoto GP 2008年第15戦。
ロッシは終始堅実な走りをみせ、勝利で年間優勝を飾った。ロッシにとって、モテギでのMotoGPマシンの初の勝利であり、ホンダのホームコースにおけるヤマハの初勝利でもある。
目次
日本GP レース前のTips
開催日 : 2008年9月28日
コンディション : ドライ
気温 : 19℃
路面温度 : 23℃
ウェットからドライへ:2007年 日本GPは大波乱だった
2007年のモテギは年間のベストレースに挙げたい、実に見ごたえのある一戦だった。
ストーナーがロッシの前でゴールさえすれば、年間優勝が決まる一戦は、予選と打って変わって、フルウェットで幕を開けた。
次第に乾いてく路面に対応するために、スリックタイヤ車への乗り換えが認められたが、1ポイント差を巡る攻防の最中にあるロッシとストーナーは、いつ乗り換えるべきなのか、なかなか決断が下せなかった。
ストーナーはマシン交換のタイミングを誤り、8位まで順位を落とすが、それ以上に順位を落としたのがロッシ。
何としてもストーナーより前でゴールしたいロッシは、普段の沈着さが嘘のように慌てふためいた走りで15位まで順位を落としてしまい、ストーナーの年間優勝が決まった。
2007年MotoGP日本GPの上位順位変動
難しい状況での判断が勝敗を分けた、見ごたえのあるレースの一つ。
ロッシの年間王者が決まるか?
昨年とは一転して、今年はロッシが年間チャンピオンに大手をかけている。
2位のストーナーとは87ポイント差であり、ストーナーが1位でも、ロッシが3位以上となれば、年間優勝となる。
もしストーナーが2位なら、ロッシは8位以上、ストーナーが3位ならロッシは12位以上にさえ入ればよい。
ロレンソがチョーご機嫌
ポールポジションを獲得したロレンソの機嫌がイイ。
いつものチンピラのような視線(失礼)が嘘のように、グリッドでも笑顔を振りまいている。
前々戦ミサノで4か月ぶりの表彰台、前戦インディアナポリスでウェットでの初登壇、そして今回は5か月ぶりのポール。
ロレンソ、絶好調である。
秋吉耕佑がワイルドカード参戦
スズキのテストライダーである、秋吉耕佑が前年に続いてワイルドカードで参戦している。
前年は一時5位を走行したものの、転倒リタイヤとなってしまった。
今年はテストライダーとしての役目を果たせるだろうか。
ツインリンクもてぎのご紹介
コース幅 : 15m
コーナー数 : 右8 左6
最長ストレート : 762m
決勝レース周回数 : 24周
総走行距離 : 115.224km
ロレンソが12戦ぶりにポールポジション : 決勝グリッド
ロレンソが4月の第3戦ポルトガルGP以来、12戦ぶりにポールポジションを獲得した。しかも2位のストーナーに0.3秒差をつけて、文句なしのトップだ。
Row | Grid | Rider | Team | Time |
1 | 1 | Jorge LORENZO | Fiat Yamaha Team | 1'45.543 |
2 | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 1'45.831 | |
3 | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 1'45.971 | |
2 | 4 | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 1'46.060 |
5 | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 1'46.303 | |
6 | Loris CAPIROSSI | Rizla Suzuki MotoGP | 1'46.450 | |
3 | 7 | Colin EDWARDS | Tech 3 Yamaha | 1'46.496 |
8 | Randy DE PUNIET | LCR Honda MotoGP | 1'46.554 | |
9 | 中野 真矢 | San Carlo Honda Gresini | 1'46.616 | |
4 | 10 | James TOSELAND | Tech 3 Yamaha | 1'46.863 |
11 | John HOPKINS | Kawasaki Racing Team | 1'46.888 | |
12 | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 1'46.904 | |
5 | 13 | Andrea DOVIZIOSO | JiR Team Scot MotoGP | 1'46.907 |
14 | Toni ELIAS | Alice Team | 1'46.958 | |
15 | Sylvain GUINTOLI | Alice Team | 1'47.400 | |
6 | 16 | Marco MELANDRI | Ducati Marlboro Team | 1'47.475 |
17 | Anthony WEST | Kawasaki Racing Team | 1'47.669 | |
18 | Alex DE ANGELIS | San Carlo Honda Gresini | 1'47.680 | |
7 | 19 | 秋吉 耕佑 | Rizla Suzuki MotoGP | 1'48.671 |
ロッシの巧みなレース運び : 日本GP
4番グリッドのロッシと、2番グリッドのストーナー、5番グリッドのペドロサが良いスタートを決めた。
ホールショットは、ストーナー、ペドロサ、ヘイデン、ロッシの順。
上機嫌ロレンソは”らしくない”出遅れで5位に落ちてしまうが、3コーナーでロッシをパスして4位に上がる。
ロッシ、苦手なモテギで好機を逃さぬ見事な走り
ロッシは2周目の第2コーナーで、ロレンソが膨らんだスキを見逃さず4位に戻る。更にヘアピンでヘイデンもパスして、3位に順位を上げた。
4周目にはトップ争いを続けていたペドロサとストーナーに追いつくものの、コーナーの立ち上がりでは先行2台の方が速く、なかなか差を詰められないでいた。
この差を詰めることになったのは、先頭2台の争いだった。
5周目の5コーナーでストーナーがペドロサをパスしてトップに立つが、続く6コーナーでペドロサが挽回する。この動きで少し遅れがちだったロッシが一気に差を詰めた。
更に6周目の5コーナーへの進入でストーナーがペドロサのインに飛び込むが、少々強引なパッシングとなり、ペドロサは衝突を避けるため、バイクを起こした。一方のストーナーは強引なパッシングを詫びるかのように、片手を上げた。
この2台の動きで漁夫の利を得たのはロッシ。僅かに立ち上がりが遅れたペドロサのスキを突いて2位に上がり、ストーナーとの差を一気に詰めることが出来たのだった。
7周目以降、ロッシはトップのストーナーにピタリと付いて行く。ストーナーは2周連続でファステストを記録するほど、ペースを上げ、ロッシを引き離そうとするが、ロッシも負けじと付いて行く。
ロッシとしては、ムリせず2位をキープし、年間優勝を決めることを最優先に考え、チャンスがあればストーナーをパスして優勝を狙うというのが順当な考え方だろう。
動きがあったのは13周目。ロッシがストーナーのインを狙うような素振りを見せ、続く14周目の3コーナーでトップに立つ。
ペースを上げたロッシにストーナーも必死に追走し、後半セクションで追いつくものの、抜くことは出来なかった。
最終的にはこの流れが、勝利につながったと思う。
15周目以降、ロッシは毎周0.2秒ずつストーナーとの差を開き、ストーナーに1.9秒差をつけて勝利した。
ロレンソ vs ペドロサ
ロッシ勝利のキッカケとなった、6周目の5コーナー進入でのストーナーのパッシングは、ロレンソにもチャンスをもたらした。
立ち上がりが遅れたペドロサのスキを突いて、ロッシが2位に上がった動きの間に、4位のヘイデンと5位のロレンソがペドロサとの差を1秒まで縮めていたのだ。
ペドロサを猛追するロレンソとヘイデン。ロレンソは8周目の3コーナーでヘイデンをパスして4位にあがり、最終ラップにはペドロサに追いつく。
なんとしても表彰台に復活したいロレンソは、ヘアピンで強引にペドロサのインを突こうとしたが、後輪に接触してしまう。
転倒こそ免れたが、ペドロサとの勝負には方が付いてしまい、惜しくも4位でのフィニッシュとなった。
ロッシ、3年ぶりの王者を優勝で飾る : 日本GPの結果
ロッシは勝利で年間優勝を飾った。ロッシにとって、モテギでのMotoGPマシンの初の勝利であり、ホンダのホームコースにおけるヤマハの初勝利でもある。
順位 | Rider | トップとのタイム差 | タイヤメーカー |
1 | Valentino ROSSI | - | ブリヂストン |
2 | Casey STONER | 1.943 | ブリヂストン |
3 | Dani PEDROSA | 4.866 | ブリヂストン |
4 | Jorge LORENZO | 6.165 | ミシュラン |
5 | Nicky HAYDEN | 24.593 | ミシュラン |
6 | Loris CAPIROSSI | 25.685 | ブリヂストン |
7 | Colin EDWARDS | 25.918 | ミシュラン |
8 | 中野 真矢 | 26.003 | ブリヂストン |
9 | Andrea DOVIZIOSO | 26.219 | ミシュラン |
10 | John HOPKINS | 37.131 | ブリヂストン |
11 | James TOSELAND | 37.574 | ミシュラン |
12 | Randy DE PUNIET | 38.020 | ミシュラン |
13 | Marco MELANDRI | 39.768 | ブリヂストン |
14 | Sylvain GUINTOLI | 45.846 | ブリヂストン |
15 | Anthony WEST | 55.748 | ブリヂストン |
16 | Toni ELIAS | 59.320 | ブリヂストン |
17 | Alex DE ANGELIS | 1'12.398 | ブリヂストン |
R | Chris VERMEULEN、秋吉 耕佑 |
ロッシ独走 : ポイントランキング
ライダーランキング
順位 | ライダー | チーム | ポイント |
1 | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 312 |
2 | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 220 |
3 | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 209 |
4 | Jorge LORENZO | Fiat Yamaha Team | 169 |
5 | Andrea DOVIZIOSO | JiR Team Scot MotoGP | 136 |
6↑ | Colin EDWARDS | Tech 3 Yamaha | 118 |
7↓ | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 117 |
8 | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 115 |
9↑ | Loris CAPIROSSI | Rizla Suzuki MotoGP | 96 |
10↓ | 中野 真矢 | San Carlo Honda Gresini | 95 |
11↑ | James TOSELAND | Tech 3 Yamaha | 90 |
12↓ | Toni ELIAS | Alice Team | 86 |
13 | Sylvain GUINTOLI | Alice Team | 58 |
14 | Alex DE ANGELIS | San Carlo Honda Gresini | 55 |
15 | Marco MELANDRI | Ducati Marlboro Team | 51 |
16↑ | John HOPKINS | Kawasaki Racing Team | 47 |
17↓ | Randy DE PUNIET | LCR Honda MotoGP | 47 |
18 | Anthony WEST | Kawasaki Racing Team | 42 |
19 | Ben SPIES | Rizla Suzuki MotoGP | 20 |
20 | Jamie HACKING | Kawasaki Racing Team | 5 |
21 | 岡田 忠之 | Repsol Honda Team | 2 |
コンストラクターランキング
順位 | コンストラクター | ポイント |
1 | YAMAHA | 341 |
2↑ | DUCATI | 261 |
3↓ | HONDA | 259 |
4 | SUZUKI | 158 |
5 | KAWASAKI | 71 |