14年ぶりにMotoGPが開催されるミサノサーキット。
ロッシが育った街から僅か10kmというまさに地元のサーキットで、地元ファンの期待を一手に集めたロッシに対して、ヤマハも新エンジンの投入で後押しした。
しかし、レースはランキング2位のロッシと、3位のペドロサが揃ってリタイヤする波乱の展開に。
一方で絶好調の走りを見せたのがスズキ勢。バーミューレンとホプキンスが揃って、首位のストーナーを追う展開となった。
目次
ミサノGP レース前のTips
開 催 日 : 2007年9月2日
コンディション : ドライ
気 温 : 26℃
路 面 温 度 : 42℃
ミサノは14年ぶりに復活したサーキット
ミサノサーキットは1969年に建設された歴史あるサーキットだが、1993年を最後に最高峰クラスのレースは行われていなかった。
今回、Moto GPを誘致するために大幅な改修を行い、14年ぶりに開催地となったサーキットだ。
改修前のサーキットレイアウトはこうなっていた。改修前はサンタモニカサーキットという名称だった。
それがこのように改修された。
コース上の三角形が走行方向を示しているが、回収前とは逆回りになっているのが分かる。距離も120m伸びていて、コース幅も広げられている。
分かり易くするために、二つのレイアウトを重ねてみるとこうなる。赤が改修前、青が改修後だ。
全体的に直線が増え、カーブはきつくなっている。アクセルを開ける所は開ける、曲がるところは曲がるというように、メリハリがハッキリした。
これに加えて、安全設備や医療体制、観客の収容力や市街地からのアクセスまで、実に様々な改修が行われているので、全く新しいサーキットと呼んでいいだろう。
変わらないのは気候と、イタリア人の盛り上がりだけだ。
ロッシの家のすぐ近くにある
ミサノサーキットはロッシが子供のころから住んでいる、タヴッリアの街から近くにある。ロッシの自宅からサーキットまでは10kmしかなく、自転車でも行ける距離だ。
ロッシは街の有名人というよりも、英雄と化していて、街をあげて応援に来るので、スタンドはロッシ一色になる。
ロッシに新エンジン
このレースから、ロッシに新しいエンジンが供給されている。
現在のMotoGPでは、シーズン中のエンジン開発が禁止され、1名のライダーが年間に使用できるエンジンの数も制限されているが、この当時はそのような制限はなく、各社とも新しいエンジンの開発と投入を頻繁に行っていた。
因みに、開発規制が導入されたのは2009年の中盤からだ。
当時リーマンショックに喘いでいた各社の開発を制限して、費用の削減を図る目的で導入された。
現在では、この規制に優勝経験が無いメーカーに対しての優遇措置が加わり、各メーカーの実力があまり乖離しないように工夫されている。その結果、特定のメーカーばかりが勝つことが少なくなり、レース内容を面白くする効果も出ている。(マルケスは別格だが、、)
ミザノサーキットの概要
コース幅 : 12m
コーナー数 : 右10 左6
最長ストレート : 565m
決勝レース周回数 : 28周
総走行距離 : 117.04km
ミサノGP 決勝のグリッド
改修前のサーキットを、バロスが500ccで走っているが、大改装が行われていて逆回りにもなっていることから、事実上全ライダーにとって初のサーキットである。
Row | Grid | Rider | Team | Time |
1 | 1 | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 1'33.918 |
2 | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 1'34.094 | |
3 | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 1'34.469 | |
2 | 4 | Randy DE PUNIET | Kawasaki Racing Team | 1'34.506 |
5 | John HOPKINS | Rizla Suzuki MotoGP | 1'34.536 | |
6 | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 1'34.580 | |
3 | 7 | Carlos CHECA | Honda LCR | 1'34.628 |
8 | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 1'34.717 | |
9 | Colin EDWARDS | Fiat Yamaha Team | 1'34.768 | |
4 | 10 | Anthony WEST | Kawasaki Racing Team | 1'34.939 |
11 | Sylvain GUINTOLI | Dunlop Yamaha Tech 3 | 1'35.202 | |
12 | Marco MELANDRI | Honda Gresini | 1'35.236 | |
5 | 13 | Loris CAPIROSSI | Ducati Marlboro Team | 1'35.283 |
14 | 中野 真矢 | Konica Minolta Honda | 1'35.389 | |
15 | Toni ELIAS | Honda Gresini | 1'35.632 | |
6 | 16 | 玉田 誠 | Dunlop Yamaha Tech 3 | 1'35.865 |
17 | Alex BARROS | Pramac d'Antin | 1'35.897 | |
18 | Kurtis ROBERTS | Team Roberts | 1'36.605 | |
7 | 19 | Alex HOFMANN | Pramac d'Antin | 1'36.659 |
ミサノGPは前半から大荒れ
ホールショットはストーナーが奪い、5番グリッドスタートのホプキンスと8番スタートのバーミューレンの2台のスズキ勢が続く。1周目からスズキの走りが良い。スタートで順位を落としたロッシが3位に上がる。
第二コーナーで、ドプニエのリアがスライドし転倒。ペドロサを巻き込み、回避しようとしたヘイデンとロバーツもグラベルに入ってしまう。ヘイデンとロバーツは転倒を免れ、レースに復帰したが、ドプニエとペドロサはリタイヤ。
2周目
前回優勝のカピロッシは5位を走行している。
ストーナーは2位に0.8秒のリード。2位3位のスズキがランデブー状態で走行している。4位のロッシは0.5秒遅れ。
4周目
ホプキンスがファステストの走りで、ストーナーから0.5秒に迫る。バーミューレンもついてきている。
ロッシのマシンの排気音に異常が認められる。
5周目
ロッシが急にコースから外れ、低速走行を始める。その後ピットインし、リタイヤとなる。原因はエンジントラブル。新型エンジンの問題だったようだ。
6周目
バーミューレンがホプキンスをパスし2位に上がる。ストーナーとの差は1秒。
4位のメランドリは3位ホプキンスから6秒遅れ。
10周目
この段階の順位とタイム差は次の通り。
ストーナー
↓ 1.1秒
バーミューレン
↓ 0.7秒
ホプキンス
↓ 9.3秒
メランドリ
11周目
バーミューレンがストーナーとの差を0.2秒縮め、0.9秒とする。ホプキンスは付いて行けず、バーミューレンとの差が開き始める。
13周目
ストーナーがペースを上げ、バーミューレンとの差を1.2秒に戻す。
バーミューレンとホプキンスの差は2.7秒まで開いている。
16周目
この段階の順位とタイム差は次の通り。
ストーナー
↓ 1.8秒
バーミューレン
↓ 6.6秒
ホプキンス
↓ 9.3秒
メランドリ
ストーナーとバーミューレンが突出して速い。
27周目
この段階の順位とタイム差は次の通り。
ストーナー
↓ 5.3秒
バーミューレン
↓ 7.9秒
ホプキンス
↓ 10.1秒
メランドリ
最終周
ストーナーがラップタイムを2秒落とすが、結果には影響なく、首位でフィニッシュ。
スズキが2位3位となる。
スズキが2位と3位 ブリヂストン圧勝 : 順位一覧
決勝の順位はこのようになった。ストーナーが相変わらずダントツで優勝だ。
順位 | Rider | トップとのタイム差 | タイヤメーカー |
1 | Casey STONER | ー | ブリヂストン |
2 | Chris VERMEULEN | 4.851 | ブリヂストン |
3 | John HOPKINS | 16.002 | ブリヂストン |
4 | Marco MELANDRI | 22.737 | ブリヂストン |
5 | Loris CAPIROSSI | 24.787 | ブリヂストン |
6 | Carlos CHECA | 34.986 | ミシュラン |
7 | Toni ELIAS | 40.896 | ブリヂストン |
8 | Anthony WEST | 41.774 | ブリヂストン |
9 | Colin EDWARDS | 47.146 | ミシュラン |
10 | 中野 真矢 | 48.808 | ミシュラン |
11 | Alex HOFMANN | 49.299 | ブリヂストン |
12 | Sylvain GUINTOLI | 1'09.176 | ダンロップ |
13 | Nicky HAYDEN | 1'20.424 | ミシュラン |
14 | 玉田 誠 | 1'34.223 | ダンロップ |
15 | Kurtis ROBERTS | 1 lap | ミシュラン |
R | Randy DE PUNIET、Dani PEDROSA
Alex BARROS、Valentino ROSSI |
ストーナーとロッシは残り5戦で85ポイント差
ストーナーとロッシのポイント差が60から85に開いた。
残るは5戦。さすがのロッシにも厳しい差になってしまった。この原因となったのが、新型エンジンのトラブルというのも、じつにやるせない。
ライダーランキング
順位 | ライダー | チーム | ポイント |
1 | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 271 |
2 | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 186 |
3 | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 168 |
4 | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 144 |
5 | John HOPKINS | Rizla Suzuki MotoGP | 140 |
6 | Marco MELANDRI | Honda Gresini | 126 |
7 | Colin EDWARDS | Fiat Yamaha Team | 100 |
8 | Loris CAPIROSSI | Ducati Marlboro Team | 98 |
9 | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 92 |
10 | Alex BARROS | Pramac d'Antin | 83 |
11 | Alex HOFMANN | Pramac d'Antin | 65 |
12 | Toni ELIAS | Honda Gresini | 63 |
13 | Randy DE PUNIET | Kawasaki Racing Team | 58 |
14 | Carlos CHECA | Honda LCR | 45 |
15 | Anthony WEST | Kawasaki Racing Team | 41 |
16 | 中野 真矢 | Konica Minolta Honda | 37 |
17 | 玉田 誠 | Dunlop Yamaha Tech 3 | 33 |
18 | Sylvain GUINTOLI | Dunlop Yamaha Tech 3 | 28 |
19 | Kurtis ROBERTS | Team Roberts | 10 |
20 | Roger Lee HAYDEN | Kawasaki Racing Team | 6 |
21 | Michel FABRIZIO | Honda Gresini | 6 |
22 | Fonsi NIETO | Kawasaki Racing Team | 5 |
23 | Olivier JACQUE | Kawasaki Racing Team | 4 |
24 | Kenny ROBERTS JR | Team Roberts | 4 |
コンストラクターランキング
ついにホンダがヤマハを抜かしたが、ドカティの強さからしたら、あまり意味も無いか、、、
順位 | コンストラクター | ポイント |
1 | DUCATI | 283 |
2 | HONDA | 219 |
3 | YAMAHA | 213 |
4 | SUZUKI | 191 |
5 | KAWASAKI | 90 |
6 | KR212V | 14 |