ライダー皆の走りがアグレッシブで、多くのパッシングで接触が起こるという、やたらとテンションが高いレース。これほど接触が多いレースも珍しい。
結果は「ブリヂストンの日」と呼べるほどの、ブリヂストン車の圧勝。このレース以降、ブリヂストンのスペックは確実に一段上がった。
目次
トルコGP レース前のTips
開催日 : 2007年4月22日
コンディション : ドライ
気温 : 23℃
路面温度 : 38℃
2006年のトルコGPは?
2006年のトルコGPは、ヘイデン、メランドリ、ペドロサ、ストーナーが目まぐるしく順位を奪い合い、見終わてみると、レース中ずっとバトルが続いていたように感じるほどだった。MotoMaxがおススメするレースの1つ。
1位 メランドリ、 2位 ストーナー、 3位 ヘイデン
ミシュランタイヤに不安?
レースの開始前から、ミシュランタイヤを不安視するような情報が入っている。
これまでで最高の予選だと語っていたコーリンエドワーズだが、レース用タイヤに不安を抱えているとコメントしている。また、ロッシはグリッドでリアのセッティングを調整していたり、前輪をのぞき込んだりしていた。
中野が100レース目
中野真矢が1999年の世界選手権デビューから100戦目を迎えた。
イスタンブール・パーク・サーキットの概要
コース全長 : 5,340m
コース幅 : 21m
コーナー数 : 右6 左8
最長ストレート : 720m
決勝レース周回数 : 21 周
総走行距離 : 117.48km
トルコGP 決勝のグリッド
FIAT Yamahaの2台が先頭に並ぶと映える。
Row | Grid | Rider | Team | Time |
1 | 1 | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 1'52.795 |
2 | Colin EDWARDS | Fiat Yamaha Team | 1'52.944 | |
3 | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 1'52.971 | |
2 | 4 | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 1'53.375 |
5 | Loris CAPIROSSI | Ducati Marlboro Team | 1'53.559 | |
6 | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 1'53.613 | |
3 | 7 | John HOPKINS | Rizla Suzuki MotoGP | 1'53.637 |
8 | Randy DE PUNIET | Kawasaki Racing Team | 1'53.706 | |
9 | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 1'53.771 | |
4 | 10 | Toni ELIAS | Honda Gresini | 1'53.835 |
11 | Olivier JACQUE | Kawasaki Racing Team | 1'53.847 | |
12 | 中野 真矢 | Konica Minolta Honda | 1'53.988 | |
5 | 13 | Alex BARROS | Pramac d'Antin | 1'54.082 |
14 | Marco MELANDRI | Honda Gresini | 1'54.143 | |
15 | 玉田 誠 | Dunlop Yamaha Tech 3 | 1'54.206 | |
6 | 16 | Carlos CHECA | Honda LCR | 1'54.221 |
17 | Alex HOFMANN | Pramac d'Antin | 1'54.421 | |
18 | Kenny ROBERTS JR | Team Roberts | 1'54.527 | |
7 | 19 | Sylvain GUINTOLI | Dunlop Yamaha Tech 3 | 1'54.845 |
トルコGP レースの経過
ホールショットはロッシ。コーリン・エドワーズとケーシー・ストーナーが続く。6番グリッドスタートのニッキー・ヘイデンは5位に付けている。4番グリッドスタートのダニ・ペドロサはスタートに失敗し8位に落ちる。ほどなくストーナーとカピロッシがエドワーズをパスする。ジョン・ホプキンスもエドワーズをパスし4位に上がる。
ロッシが高速コーナーで曲がりきれず、コース外の芝生に乗り上げてしまう。転倒は免れたが、順位は5位に落ちる。 オリビエ・ジャックがエドワーズに追突してしまい、両者転倒。ペドロサとクリス・バーミューレンも巻き込まれる。ジャック、エドワーズ、ペドロサはリタイヤ。バーミューレンはレースに復帰する。
2周目
順位はケーシー・ストーナー、ロリス・カピロッシ、ジョン・ホプキンス、トニー・エリアス、バレンティーノ・ロッシ、ニッキー・ヘイデン
4周目
首位のストーナーと2位のカピロッシの差が1秒まで開く。
4位のエリアスが3位のホプキンスをプッシュしている。
5周目
ロッシがエリアスをパスして4位に上がる。
6周目
ストーナーは依然1秒のリード。
コーナーでロッシが3位のホプキンスのイン側から少々強引なパッシングで3位に上がる。ホプキンスはあわやコースアウトという状態まで押し出されてしまい、この間にエリアスもホプキンスをパスする。
8周目
エリアスがロッシのスキを伺う走り。
9周目
ロッシとエリアスが2位のカピロッシに迫る。
ロッシがカピロッシをパスして2位に上がる。続いてエリアスもカピロッシをパスし、カピロッシは4位に落ちる。
10周目
トップのストーナーと、2位のロッシの差は2秒。
エリアスがロッシをパスするが、その際にロッシと接触。ロッシは車体を起こさざるを得ず、エリアスから1秒遅れの3位となる。
13周目
トップのストーナーと2位のエリアスの差が2.8秒まで開く。
ホプキンスとメランドリが4位のカピロッシをパスする。
14周目
ストーナーがファステストの走りで2位との差を3.1秒まで開く。
メランドリがホプキンスを狙う。
15周目
ストーナーが再度ファステストで、差を3.6秒に開く。ストーナーは周回を重ねるごとにラップタイムを更新している。
3位を走っているロッシのペースが落ちるが、後ろを走るホプキンス、メランドリ、カピロッシはなかなかロッシをパスできない。この間にヘイデンとバロスが集団に追いつく。
バロスがヘイデンをパスする。
ロッシがホプキンス、メランドリ、カピロッシに次々にパスされ、一気に6位に落ちる。
16周目
ロッシはバロスにもパスされて7位まで落ちる。この時点で先頭6台をブリヂストン車が独占している。
カピロッシがメランドリ、ホプキンスとパスし、3位に上がる。
17周目
ヘイデンがロッシをパスする。
ストーナーは2位に5秒差をつけている。
バロスがメランドリをパスし5位に上がるが、メランドリが抜き返す。
18周目
3位争いの中から カピロッシが僅かに抜け出す。
4位争いが熾烈さを増し、メランドリ、ホプキンス、バロス、ヘイデンの順位が目まぐるしく変わる。各車とも接触が多く、アドレナリンが出っぱなしの走り。
車載映像で、ロッシのリアタイヤの表面が剥がれているのが映し出される。
19周目
ロッシはランディ・ドプニエにもパスされてしまい、9位に落ちる。
21周目
メランドリがバロスをパスし、4位に上がる。
アレックス・ホフマンがロッシをパスしロッシは10位に落ちる。
バロスがメランドリをパスし、4位に戻る。
ヘイデンがホプキンスをパスし、6位に上がる。
最終周
4位のバロスが3位のカピロッシに迫り、直線でパスするが、続くコーナーで抜き返される。
ホプキンスがヘイデンをパスし、6位に戻る。
ストーナーは危なげない走りで優勝。
トルコGPの結果
順位 | Rider | トップとのタイム差 | タイヤメーカー |
1 | Casey STONER | ー | ブリヂストン |
2 | Toni ELIAS | 6.207 | ブリヂストン |
3 | Loris CAPIROSSI | 8.102 | ブリヂストン |
4 | Alex BARROS | 8.135 | ブリヂストン |
5 | Marco MELANDRI | 8.289 | ブリヂストン |
6 | John HOPKINS | 10.186 | ブリヂストン |
7 | Nicky HAYDEN | 10.239 | ミシュラン |
8 | Randy DE PUNIET | 14.734 | ブリヂストン |
9 | Alex HOFMANN | 16.042 | ブリヂストン |
10 | Valentino ROSSI | 18.999 | ミシュラン |
11 | Chris VERMEULEN | 26.249 | ブリヂストン |
12 | Carlos CHECA | 29.546 | ミシュラン |
13 | 中野 真矢 | 36.922 | ミシュラン |
14 | 玉田 誠 | 38.540 | ダンロップ |
15 | Sylvain GUINTOLI | 39.337 | ダンロップ |
16 | Kenny ROBERTS JR | 1'09.336 | ミシュラン |
R | Olivier JACQUE、Dani PEDROSA、Colin EDWARDS |
MotoMaxのたわごと@トルコGP
中野真矢はついてない
2002年の最高峰参入依頼、苦労を重ねてきたブリヂストンがついに開化の時を迎えた。
しかしその恩恵を受ける資格が十分にある中野真矢は、この時ミシュランを履いている。
中野は常にブリヂストンの開発と信頼性向上に力を尽くしてきた。
2004年のムジェロでは、後輪がバーストして時速300kmのバイクから放り出されるという、信じられないアクシデントに見舞われたにもかかわらず、その1週間後のカタルニアGPに出走。他のブリヂストンライダーが次々にリタイヤする中、上位10名の中で唯一のブリヂストン勢として6位に入賞を果たすなど、穏やかは表情からは想像もつかないガッツで、ブリヂストンを履き続けた中野である。さらに昨年のアッセンでの2位登壇や、一時トップを走行したフィリップアイランドなど、中野のレベルは上がっていた。しかしこのブリヂストンの開花時に、中野はブリヂストンが使えない。コニカミノルタ・ホンダに移籍してミシュランを履いている。
なんという不運。ついてないとしか言いようがない。
トルコGPを復活させて欲しい
06年07年のトルコGPを見て思うのだが、イスタンブールサーキットは、ライダーを熱くさせる何かがあるようだ。ライダーの熱量が普段より1段高い。イスタンブールサーキットはF1でも名勝負が展開されいるらしいので、やはり何かあるのだろう。
しかし残念ながら、トルコGPはこの年を最後に開かれていない。F1も2011年を最後に、開催されていない。
国状から開催が難しいのかもしれないが、復活を期待したいサーキットだ。