Moto GP2008年第8戦のブリティッシュGPは、ストーナーが第2戦以来の不調から完全に脱したと感じさせる展開となった。
目次
ブリティッシュGP レース前のTips
開催日 : 2008年6月22日
コンディション : ドライ
気温 : 20℃
路面温度 : 26℃
難しいコンディションで我慢のレース : 2007年のブリティッシュGP振り返り
2007年のブリティッシュGPは、ウェットからドライへと変わっていく難しいレースだったため、ライダー同士のバトルよりも、如何にタイヤを持たせるか? 消耗して滑り出したタイヤで、如何に走り切るか?というレース展開となった。
ケーシー・ストーナーがこの難しいコンディションに見事に対応し、自身が一流のライダーであることを証明したレース。
- 1位 ケーシー・ストーナー
- 2位 コーリン・エドワーズ
- 3位 クリス・バーミューレン
ストーナー復活!
第2戦11位、第4戦では16位という、信じられないような結果を出していた前年王者のストーナーだったが、前戦後のテストで電子制御を改善し、ポールポジションを奪取した。(このテストは、かつてのロッシのライバルであるセテ・ジベルナウが行っている)
ブリティッシュGPは天候が不安定であることが多く、2008年も金曜は晴れ、土曜は雨となったが、どちらのコンディションでもストーナーが最速ラップを記録している。
カピロッシが欠場
カピロッシが手の骨折で欠場し、ベン・スピーズが代役を務めてる。
ロッシGP200戦目
ロッシにとって、世界グランプリ参戦200戦目となるレース。ロッシにとってドニントンパークは過去に7勝している得意のサーキットである。
ヘイデンにニューマシン
ニッキーヘイデンに対して、ニューマチックバルブ採用のマシンが提供された。
ニューマチックバルブとは、エンジンシリンダーへの吸気・排気を行うバルブの制御に、スプリングではなく、空気圧を使う仕組みだ。MotoGPマシンのエンジン回転の速さに、スプリングでは追いつけなくなってしまったため、バネではなく空気圧で制御している。
待ちに待ったエンジンを提供されたヘイデンは、ドライではストーナーに続き2位、ウェットでも4位という好成績で決勝に臨んでいるが、決勝当日にメインバイクに問題が見つかり、決勝戦は予備のバイクで走る事となってしまった。
尚、ペドロサにも新エンジンは提供されているが、テスト時に転倒してしまったために十分な準備が出来ず、今回は旧エンジン車で走っている。
ドニントンパークの概要
コース幅 : 10m
コーナー数 : 右7 左4
最長ストレート : 564m
決勝レース周回数 : 30周
総走行距離 : 120.69km
ストーナーが2戦連続でポール : 決勝グリッド
ストーナーが2戦連続でポールポジションを獲得している。
ストーナーは先行逃げ切り型のライダーなので、他のライダーはストーナーに先行させたくないはずだ。
Row | Grid | Rider | Team | Time |
1 | 1 | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 1'38.232 |
2 | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 1'38.881 | |
3 | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 1'39.018 | |
2 | 4 | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 1'39.270 |
5 | Colin EDWARDS | Tech 3 Yamaha | 1'39.601 | |
6 | Andrea DOVIZIOSO | JiR Team Scot MotoGP | 1'39.783 | |
3 | 7 | Anthony WEST | Kawasaki Racing Team | 1'39.995 |
8 | Ben SPIES | Rizla Suzuki MotoGP | 1'40.244 | |
9 | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 1'40.350 | |
4 | 10 | 中野 真矢 | San Carlo Honda Gresini | 1'40.417 |
11 | John HOPKINS | Kawasaki Racing Team | 1'40.539 | |
12 | Sylvain GUINTOLI | Alice Team | 1'40.595 | |
5 | 13 | Alex DE ANGELIS | San Carlo Honda Gresini | 1'40.667 |
14 | Randy DE PUNIET | LCR Honda MotoGP | 1'41.110 | |
15 | Marco MELANDRI | Ducati Marlboro Team | 1'41.379 | |
6 | 16 | James TOSELAND | Tech 3 Yamaha | 1'41.751 |
17 | Jorge LORENZO | Fiat Yamaha Team | 1'41.873 | |
18 | Toni ELIAS | Alice Team | 1'42.933 |
ストーナーの完全復活を印象付けた決勝レース
決勝当日は風が強く、風速8m/secを記録している。
ポールポジションのストーナーが良いスタートを決め、トップで1コーナーへ入る。2番手は2番グリッドのロッシ、3番手は4番グリッドのヘイデン。1コーナーで母国GPのトーズランドがハイサイドを起こして転倒してしい、レースには復帰するが最下位となる。
3コーナーでドビチオーゾがヘイデンをパスして3位に上がる。
半周の時点で9番グリッドスタートのドロサがヘイデンの後ろ、5位に上がっている。
17番グリッドのロレンソも10位まで上がる。
2周目
ストーナーは前回GPと違って全く危なげが無い走り。
トーズランドが再び転倒するも、レースには復帰する。
ロレンソがウエストをパスして9位に上がる。
4周目
4位走行のペドロサがファステストラップを記録する。
6周目
6周目に入った時点での上位ライダーのタイム差は次の通り
ストーナー
↓ 1.4
ロッシ
↓ 0.5
ドビチオーゾ
↓ 0.2
ペドロサ
↓ 0.9
ヘイデン
ペドロサのペースがドビチオーゾより速いが、抜くことが出来ずにいる
7周目
ストーナーは1周ごとに、少しづつリードを築いている。
ロッシ、ドビチオーゾ、ペドロサが2位集団。
5位走行のヘイデンはペドロサより少し遅れているが、6位のバーミューレンよりは速いペース。
ロレンソはストーナーから9秒遅れで9位を走行している。
8周目
S字コーナーの進入で、ペドロサがドビチオーゾをパスして3位に上がる。
9周目
ペドがロッシに、ヘイデンがドビチオーゾに追いついてきている。
11周目
11周目に入った時点での上位ライダーのタイム差は次の通り
ストーナー
↓ 2.1秒
ロッシ
↓ 0.4
ぺドロサ
↓ 2.0
ドビチオーゾ
↓ 0.3
ヘイデン
12周目
ヘイデンがドビチオーゾをパスして3位に上がる。
13周目
13周目に入った時点での上位ライダーのタイム差は次の通り
ストーナー
↓ 2.2秒
ロッシ
↓ 0.2
ぺドロサ
↓ 4.8
ヘイデン
↓ 0.5
ドビチオーゾ
14周目
3位のペドロサが、ロッシにぴったりと付いて走行している
15周目
1コーナーでペドロサがロッシをかわして2位に上がるが、第3コーナーでロッシがペドロサを抜き返して2位に戻る。
16周目
ペドロサが再度1コーナーでロッシをパスする。
ペドロサはロッシを防ぐため、深めのラインを取るが、ロッシはこれをかわして2位に戻る。
17周目
ホプキンスがマシントラブルでリタイヤとなる。
第5戦のルマンで、チェーンが切れたのに続いて、今期2回目のマシントラブルリタイヤだ。
18周目
18周目に入った時点での上位ライダーのタイム差は次の通り
ストーナー
↓ 4.1秒
ロッシ
↓ 0.4
ぺドロサ
↓ 7.2
ドビチオーゾ
↓ 0.4
エドワーズ
↓ 0.6
ヘイデン
ストーナーはロッシとの差を5周で2秒開いている。
ヘイデンが順位を落とし、エドワーズが上がってきた。
エドワーズがドビチオーゾをパスして4位に上がる。
21周目
ロレンソが中野をパスして8位に上がる。
22周
22周目に入った時点での上位ライダーのタイム差は次の通り
ストーナー
↓ 5.6秒
ロッシ
↓ 0.3
ぺドロサ
↓ 7.3
エドワーズ
↓ 1.2
ドビチオーゾ
↓ 1.7
バーミューレン
↓ 0.2
ヘイデン
24周
ヘイデンがバーミューレンに仕掛け、何度かパスするがその都度抜き返されてしまう
25周
バーミューレンがヘイデンとロレンソに続けてパスされ、8位に落ちる。
26周目
1コーナーでロレンソがヘイデンをパスして6位に上がる。
27周目
ヘイデンがロレンソを追走している
28周目
28周目に入った時点での上位ライダーのタイム差は次の通り
ストーナー
↓ 6.2秒
ロッシ
↓ 0.9
ぺドロサ
↓ 6.6
エドワーズ
↓ 2.4
ドビチオーゾ
↓ 2.1
ロレンソ
↓ 0.6
ヘイデン
29周目
最終周
最終周目に入った時点での上位ライダーのタイム差は次の通り
ストーナー
↓ 6.1秒
ロッシ
↓ 2.8
ぺドロサ
↓ 4.9
エドワーズ
↓ 2.6
ドビチオーゾ
↓ 1.5
ロレンソ
↓ 1.2
ヘイデン
ペドロサがペースを落としている。
順位変動なく、そのままフィニッシュ。
ブリティッシュGPの結果
ポールポジションスタートのストーナーが、1度も首位を奪われることなく優勝した。
順位 | Rider | トップとのタイム差 | タイヤメーカー |
1 | Casey STONER | - | ブリヂストン |
2 | Valentino ROSSI | 5.789 | ブリヂストン |
3 | Dani PEDROSA | 8.347 | ミシュラン |
4 | Colin EDWARDS | 12.678 | ミシュラン |
5 | Andrea DOVIZIOSO | 14.801 | ミシュラン |
6 | Jorge LORENZO | 15.690 | ミシュラン |
7 | Nicky HAYDEN | 18.196 | ミシュラン |
8 | Chris VERMEULEN | 21.666 | ブリヂストン |
9 | 中野 真矢 | 29.354 | ブリヂストン |
10 | Anthony WEST | 41.030 | ブリヂストン |
11 | Toni ELIAS | 44.426 | ブリヂストン |
12 | Randy DE PUNIET | 46.199 | ミシュラン |
13 | Sylvain GUINTOLI | 48.731 | ブリヂストン |
14 | Ben SPIES | 49.591 | ブリヂストン |
15 | Alex DE ANGELIS | 1'22.186 | ブリヂストン |
16 | Marco MELANDRI | 1'30.021 | ブリヂストン |
17 | James TOSELAND | 1 lap | ミシュラン |
R | John HOPKINS |
ポイントランキング
昨年の王者、ストーナーが息を吹き返した。今後どのような展開になるのだろう?
ライダーランキング
順位 | ライダー | チーム | ポイント |
1 | Valentino ROSSI | Fiat Yamaha Team | 162 |
2 | Dani PEDROSA | Repsol Honda Team | 151 |
3↑ | Casey STONER | Ducati Marlboro Team | 117 |
4↓ | Jorge LORENZO | Fiat Yamaha Team | 104 |
5 | Colin EDWARDS | Tech 3 Yamaha | 82 |
6 | Andrea DOVIZIOSO | JiR Team Scot MotoGP | 68 |
7↑ | Nicky HAYDEN | Repsol Honda Team | 57 |
8↓ | James TOSELAND | Tech 3 Yamaha | 53 |
9↓ | Loris CAPIROSSI | Rizla Suzuki MotoGP | 51 |
10 | 中野 真矢 | San Carlo Honda Gresini | 49 |
11 | Chris VERMEULEN | Rizla Suzuki MotoGP | 48 |
12 | John HOPKINS | Kawasaki Racing Team | 32 |
13 | Marco MELANDRI | Ducati Marlboro Team | 29 |
14↑ | Toni ELIAS | Alice Team | 29 |
15↓ | Alex DE ANGELIS | San Carlo Honda Gresini | 25 |
16 | Randy DE PUNIET | LCR Honda MotoGP | 22 |
17 | Sylvain GUINTOLI | Alice Team | 18 |
18 | Anthony WEST | Kawasaki Racing Team | 16 |
19 | Ben SPIES | Rizla Suzuki MotoGP | 2 |
20↓ | 岡田 忠之 | Repsol Honda Team | 2 |
コンストラクターランキング
順位 | コンストラクター | ポイント |
1 | YAMAHA | 180 |
2 | HONDA | 151 |
3 | DUCATI | 122 |
4 | SUZUKI | 71 |
5 | KAWASAKI | 41 |